MONDOスタジオ群像劇(コメディ)

□第1獄 【黄色い嘴の刑】
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―――後悔してるかと聞かれたら
即答でイエスと叫んだだろう。



でも、『納得できるか』と聞かれたら
腕を組み考え込んでしまう他ない。





















……他愛もない放課後の戯れ、
なんの気なしに踏み出した愚行の先に
こんなにも呆気ない終わりがあって、
こんなにも味気ない審判があって。



納得なんてできるわけがない。
何もかもが不可解だ。理不尽だ。

他人のふざけた二言三言で、僕の―――
僕の“罪”とやらが決定される?





















『あらららら〜……やっちゃいましたねぇ。

キミみたいな子、最近多いんですよぉ。
うっかりすっかりスッテンころりで
不運にも“ここ”まで来ちゃった的な。



いやぁ残念! 実にもったいない。

キミもあと何年? 何十年?かすれば
そこそこ立派な人になってたかも―――
なってない、かも!? ウヘへへこりゃ失礼!






けどま〜、今のご時世こうでもしないと
口数減らないってのもありますしー。
食物連鎖にはねー、尊い犠牲ってんですか?
そんな感じのが必要なわけですよ。

ぶっちゃけ弱者=犠牲になるんですけど!
つまりキミってLv5未満のザコ!?
間引いても経験値入らねーウヒャヒャヒャ』





















短い眠りから覚めて、最初に目に入ったのは
赤いスツールの上に乗っかった小型テレビ。

そこから聞こえてくる、あまり若くない
ガサガサした男性の小馬鹿にした声。



今どき珍しいアンテナ付きのブラウン管だ。

彼の好きそうなレトロなテレビだな、と
夢見心地のまま目を瞬いた時、
“そいつ”が笑いこけながら喋っている
台詞の内容がやっと頭に入ってきた。





















『……え? もう巻き入ってんの?
あっちの収録終わっちゃうからって?

はいはーい、ちょい待ちちょい待ち〜。
今ぱぱっと新人くんに説明すっからねぇ。





あーえっと、そんなわけでーぇ……

下校中バカみたいに友人とバカ騒ぎしてて
赤信号にも気づかずに道路に出て、
通りかかったトラックを避けたら
置いてあった道路工事の土嚢に躓いて、
なんか色々ピタゴラスイッチ的な奇跡起きて
最終的に道路標識で首チョンパされた
救いようのないバカ少年くん!

キミ、これからアダ名【カドルス】ね。
生前の名前なんて覚えてても無意味っしょ?






















そんでもってー、キミのその奇跡的なまでの
アホくさい死に方を讃えてぇ―――



マスター・オブ・ネザーワールズ・
ドアー・オーガナイゼーション……
【地獄の門番協会】会長であるワタクシが
管轄する特別地獄に堕ちてもらいまーす!

あ、自分でもこの役職名言うのダルいから
気軽に略して“MONDOさん”って呼んでちょ』





















―――…………へ?





















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