10/26の日記

15:28
料理上手で二題。〜2皿目〜
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※柄丑で同居前提。

「ただいまー」
「あ、社長。おかえりなさいッス!」
家に入った途端に聞こえてくる柄崎の声。
それと同時にどこか懐かしい、良い匂いがする。

「メシ、もうすぐできますんで!…風呂、先、入ります?」
「いや…先メシにするわ」
丑嶋がそう言うと柄崎はにこりと頷き、再び手を動かし始めた。
母親から譲り受けた白いレースのエプロンは全く似合ってないが、トントントン…っとリズム良く包丁でキャベツを刻む姿はなかなか様になっている。

食器を並べる手伝いでもしようかと思ったが、テーブルには二人分の茶碗や箸がきちんと並べてあり、料理もいくつか、もう置いてあった。

自分と、帰る時間は一時間も変わらないはずなので、柄崎の手際の良さに丑嶋は驚く。

ふと、ごぼうの金平が目に止まったので、一つつまみ、口に入れる。
「…………」
旨かった。エプロンだけでなく、料理の腕も母親からしっかり受け継いだらしい。

数日前から柄崎と暮らし始めたが、飲みに行く日と丑嶋が要らないと言った日以外は、きちんと食事が用意されている。柄崎の仕事量は変わらないはずなのに、ここ最近は早めに仕事を済ませ、帰って作っていた。しかも、仕事も以前と変わらずきちんとこなしている。

(完璧すぎて…なんか、ムカつくわ…)

「へ?社長なんか言いました?」
「いや…何でもない」

(完璧とか言ったら絶対、調子にのるからな。言ってやんねェよ…)

そんな意地の悪い考えを浮かべながらも、丑嶋はわずかに微笑みながら柄崎の背中を見つめていたのだった。



end.

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