吉原から始まる”恋”と言う名の物語

□吉原桃源郷にて 出会い
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いつもの吉原桃源郷。


そんなところに肌の白い傘を持った男が3人ーー……。




1人はオレンジ色の髪の若い男、神威だ。

2人目は年をとった男、阿伏兎。

3人目は体格のよい男、云業。






そんな3人にある男がすれ違う。


その男はスリをしたりして、汚い手で金を盗む事で有名な奴だった。


そしていつもの様にその男は金を盗もうとする。

そして神威の懐に手を伸ばした時だったーー……。



パシッ




乾いた音が響いた。



「えーー……?」



男は驚いた。

金を盗もうとした事がこんなにも容易くばれたからだ。

男はスリの失敗をした事はなかった。

だからなおさら驚いた。




「…俺の金を盗もうなんてーー……。

馬鹿な事をする奴だなぁ…。」




神威は笑って言った。
上辺だけの笑顔。
感情のこもっていない、ただの…笑顔。


神威はつかんだ手に力をこめる。



「ぐぁっ…。」



ただ腕を掴まれているだけなのに、腕のそこの部分がちぎれそうになる。



「ねぇ、死ぬ覚悟ぐらい…出来てるよね?」



神威は笑顔で言った。



「ゆ、許してくれ!!

俺の持ってる限りの金ならいくらでもやる!!

だらか…!命だけはっ!」



男がすがる様に神威に言った。
だが、そんな男に対して神威は言った。



「俺は金に興味は無いんだ。」



そして神威は手を挙げて、男を殺そうとした時だった。


パシッ


1人の遊女らしき女によって、それは止められた。



「お?」

「「?!」」



神威は少し驚いた様にその女をみた。

綺麗な女だった。

肌が透き通る様に白く、瞳の色は
深い綺麗な赤い色。

髪は漆黒の黒で少し長めの髪だった。


思わず神威はその女に見とれてしまった。


そして女は微笑んで言った。




『いきなりすいません。

ですが私の前で殺しをされるのはどうも気に食わなくて…。』


「………。」


『夜兔の方は久しぶりです。

鳳仙…様に、御用でしょうか?』


「……ま、そんなとこかな。

君、百華の人?」


『いいえ?
私はこの吉原に住まうただの遊女。そんなたいそうな物じゃないですよ。』


「………そう。
君、名前なんて言うの?」


『名前…ですか。
私は瑠亜といいます…。』

「瑠亜か。
俺は神威。

君とはまたどこかで会う様な気がするよ。
それじゃあね。」



神威はそう言って、2人を連れて何処かへ行ってしまった。



『神威……確か春雨の第7師団団長の……。』



瑠亜はそうポツリと呟いた。そして…



『ここも…もう終わりかな…。

フフっ……面白そう…。』



目を鋭く細めて何か面白いおもちゃでも見つけたかの様に笑った。



「あんた…!あんたのおかげで
助かった!ありがとう!」



男が瑠亜に向かってそういった。



『助けた…?
別にその様な覚えはありませんが…?
私はあなたを鳳仙から殺す様に言われています。』


「ひっ…。」


『どの道貴方は死ぬのですよ。』




そう、笑っていった。
残酷に笑って……。



「ひっ、ぁぁあぁぁぁあ!!」



ザシュっ…




血が舞った。
鮮やかに、鮮やかに…。

飛んだ首から、止まる事なく流れ出る。



『さて。
鳳仙の元にでも行くかな。』

そう言って瑠亜は鳳仙の元へと向かった。



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