はなれていても…
□その出会いは突然に
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キーンコーンカーン……
誠凛高校のチャイムがなる。
桜の花びらが舞う中、多くの新入生が色々な部活に勧誘されている。
自分もその中の一人だ。
自分はバスケが好きだ。
だからバスケ部に入るつもり。
けど、自分には一つ大きな問題がある。
それは自分が女だということ。
中学の頃はバスケが好きで、
バスケの中でも強豪校の帝光中のバスケ部に男装して入った。
何故そんな事ができたのか?
それはうちの親と帝光中の理事長の仲がいいからだ。
うちの親は有名らしく、顔が広い。
今回もその親の権力の様なものを使って、
女でありながらも男子バスケ部にはいるつもりだ。
中学の頃は私は最初からバスケ部だった訳じゃない。
家の都合で、2年生の時に転校して来たのだ。
そして私は大好きなバスケをするため、長かった明るめの茶髪をバッサリと切り、自分の事を「僕」といい入った。
私の男装は完璧…!
……のはずだった…。
部に入って、少したったころ、赤髪の一軍の主将の赤司くんに呼び出された。
私は、一軍になれるのかな?
と思い、軽い足取りで屋上へと向かった。
そして私が、
『僕に何の様でしょうか?』
と、にこりと笑い、いうと、赤司くんは無表情のまま、こう言った。
「君は女の子だろう?
何故男装してこのバスケ部にはいったんだ?」
なんと、赤司くんは私が女である事を知っていた。
私はバスケが好きだから入ったと答え、その後どうやって知ったのかを聞いたが、全く教えてくれなかった。
「僕に…バスケ部を辞めさせるつもりですか…。」
女とばれたからにはこれ以上はバスケを続ける事は無理だろうと思い、私はそう言った。
「いや、そうじゃない。
君はバスケの才能がある。
その才能はもう一軍に入ってもレギュラーになれるほどだ。
だから、俺は君のその才能を有効に活かしたいと思っているだけさ。」
辞めさせると思っていた私はその言葉を耳にして、大きく目を開いた。
『じゃ、じゃあ!!
私はバスケ部を続けていてもいいんですか!!?』
「あぁ、当然だ。
だが、皆に女だとばれた時点で君はバスケ部を辞めなければいけない。」
赤司くんにそう言われて、私はその後一軍に入った。
赤司くんの言うとうり、私は試合に出してもらえるようになった。
赤司くんは私が女だと言う事は誰にも他言しなかった。
そして、私はこの時思った。
高校でもバスケ部に入るつもりだから、次の男装はもっと上手くしなければ…!と。
そうして今にいたる。
私は顔がはっきりとは分からない様にするため、前髪を伸ばし、目を隠した。
基本その前髪をあげる事はないが、本気の時などは前髪を赤いピンで止める。
はっきり言って前髪は邪魔だからだ。
あぁ、視力が低下しそうだ。
そう思いながらも私は前髪をあげる事は中々ないのだが…
そして私はその見にくい目で、バスケ部を一生懸命に探した。
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