吉原から始まる”恋”と言う名の物語

□吉原桃源郷にて 神威と鳳仙
2ページ/3ページ






「己と同等、それ以上の豪なる者の血をもって初めてーー……。」




神威は今まで閉じていた目を開けた酷くこの状況を楽しんでいる様な目で鳳仙を残酷な笑みで睨む。




「俺の魂は潤う……!!」


「ククククク…」




鳳仙はそう笑って神威の父、海坊主とのかつての昔話をし始めた。




「神威、貴様に父が超えられるか?」




すると神威は再びあの何の感情も無い笑顔を浮かべて言った。




「もうとっくに超えているよ。

家族だ何だとつまらないしがらみに捕らわれ、

子供に片腕を吹き飛ばされる様な脆弱な精神の持ち主に、真の強さは得られない。

旦那、あんたもあの男と似ているよ。

外装はゴツくても、中身は酒と女しか無い。

真の強者とは強き肉体と強き魂を兼ね備えた者。

何者にも捕らわれず、強さだけを求める俺に、あんた達は勝てやしないよ……!!」


「ぬかせ小童ぁぁっ!!」


「止めろ団長ーー!!!」





そして神威と鳳仙の戦いが激しい音を立てて始まった。


ドカァァーーーン!!



部屋の壁が派手に音を立てて壊れた。

そのからはもくもくと煙が立ち上がる。


そして部屋から外にでて瓦の上で戦いをし始める。


すると、そこへ云業が団長を止めに掛かる。




「団長止めろぉぉーー!
俺たちの目的を忘れたかぁぁー!?」



そう言って段々と神威に近づいていく。




「よせ、云業ーー………!!」




阿伏兎が止めるが云業は聞かない。

ガァンっ!!



「おわぁっっ!!」




神威が云業を頭から蹴りをいれて屋根にめり込ませた。

そして神威は低い声で云業に向かって言った。




「引っ込んでてよ。
今楽しいところなんだ。

邪魔するとーー………」




そして神威は云業の方を向いて言った。




「殺しちゃうぞ?」


「団長ぉ!」




云業が情け無い声で言う。




「言わんこっちゃねぇ。
あー…また始まっちゃったよぉ。

団長の悪い癖が…。」



阿伏兎が呆れた様に言った。




「あぁなるともぅ誰にも止められねぇ…。」




神威は楽しそうに鳳仙と戦う。

そして鳳仙が神威の顔をガッと掴む。

だがそのまま神威は話始めた。





「流石は夜王鳳仙。
かつて夜兔の頂きに立った男。

おいそれと下剋上とゆう訳にはいかない様だねぇ。」


「フンっ。
下剋上?笑わせるな。

神威、貴様には上も下もあるまい。

有るのは強いか弱いか。
ただそれだけ。

弱き者は居にも返さんが、強き者は例え誰であろうと、

師のわしであろうと牙をむく。」


「それが夜兔の血とゆうものですよ。」





鳳仙は神威の顔を掴んでいる手に力を込める。

だが神威は鳳仙に話し続ける。




「こんな土の中に安住し、酒と女に溺れるうち、その血もかわいてしまいましたか。
今の貴方に勝っても面白くないや。

思い出して下さい。
己が中に流れる修羅の血をーー……。」




神威は鳳仙に顔を掴まれて宙に浮く。

だがそんな状況になってもまだなお、神威は鳳仙に話し続ける。




「黙れ。」

「貴方の居場所は、こんな所じゃない。」

「黙れと言っているんだ…!!」




鳳仙はそう言い、神威を店の方へと投げつけた。

激しい音が響く。




.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ