銀の森

□願いが叶うなら……
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それは、銀時が拾われて来てすぐの出来事だった。



銀時が拾われて二月あまり経った頃、同じように雪がちらりちらりと降っていた。


「おお!!雪が降ってるぞ!!」
「結構冷えてたからな」
「あははっ銀時みたいじゃ〜」
「……お空から何か降ってる…」
「銀時、あれは雪というものですよ。寒いこの時期にだけ降るんです」


皆厚着してはしゃぎまわった。
銀時は初めて見る雪に興奮していたのだろう。
いつも以上に元気だった。

「先生、雪って冷たいんだね!!」
「ええ。積もったら雪合戦でもして遊べますね」

にこにこと微笑む松陽に銀時たちも自然と笑みが零れる。

暫らく遊んで、疲れたのか皆縁側に座って雪を見つめる。
すると高杉があ、と声を漏らした。


「先生、今日は確かクリスマスでしたよね」
「ああ、そうでしたね。今年はホワイトクリスマスになりましたね」
「くりすます?」
「まぁ、……ある人の誕生日だ」
「今日はのう銀時。赤い服を着たサンタクロースっちゅー人が良い子の処にプレゼントを届けてくれる日ぜよ!!」
「プレゼント貰えるの?!!」
「まぁ、今日頼んでも無理でしょうから、お願い事をしましょうか」


きっと叶えてくれますよ。
そう言った松陽。
そこで五人そろって空に向かってお願い事をした。


「ヅラ!!お前ェ何てお願いした?」
「ヅラじゃない桂だ。ふん。馬鹿なお前に俺の名前をちゃんと覚えさせてくれと頼んだだけだ」
「それは無理な話だ」
「そう言う高杉は身長の事じゃろー」
「なっ!!黙れ坂本!!お前は何てお願いした?!」
「わしは空に行きたいって願ったぜよ」
「へー。……銀時は?何てお願いした?」


「私は…ずっとこのまま、五人でこのまま」

   幸せに暮らしたい


「一緒に居たいって…お願いした」

「……お、俺たちがお前から離れるわけないだろう!!」
「そうだそうだ!!ずっとずっと!」
「五人一緒ぜよ!!」


「銀時。もしこの先、五人一緒に居れなくなったとしても、空を見上げなさい。この空の下に皆、必ず居ますから」
「…うん。あ、私ホワイトクリスマスの日にお願いする!!」
「何を?」

「その時に叶えたい願いを……」



もし、この先子の子達と一緒に居れなくなっても、私が願うのはただ一つだけ…
『元気に、自分の信念を貫き通して生きて下さい』





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