OP**LAW

□OP**LAW
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大学三年の夏休み。

『あつ…だめだぁ…』
長い夏休みを気に部屋の大掃除をしようと決めていたが、連日の猛暑。夜になってもなかなか気温が下がらない。


わたしはただただ、居間に這いつくばってしまう。

『うー。水風呂か水シャワーにでも…』

入れば元気出るかも。もともと運動もしないし、大学も幸せな事に車通学なものだから、体力が全然ないわたしだ。

思い付いたわずかな可能性にかけて体を持ち上げるーーーーー

フラッーーー

『わわっ!ーーーっ!!』




ガン!! ! !








汗で湿った足裏が立ち上がった瞬間見事に滑り、そのままテーブルの角に頭を強打する。


ーー我ながらすごい運動神経…ますます意識遠退くよ…



そのままわたしは目を閉じた。


ペチ



ーーペチペチ



ん?誰かほっぺた触ってる…




「おーい」



男の人の声だ。遠くから聞こえるなぁ。あれ、でもわたし一人暮らしなのにどうして。


あまりの音に誰か来てくれたのかな?鍵、空いてたっけ…


「君、大丈夫?」



なおもその男は手をわたしの頬にペチペチとあてる。


いい加減目を開けよう。だってこのまま無視したら後々気まずい。


『ん…』


とわたしはそっと目を開ける。彼は驚くほど顔が近かった。


「…君……」

『は、はい…』



ーーというか、


ーーーというかここどこ!?



足元には水、というか海水。サラサラと自分の足首まで波が打ち寄せる。


暑いことには変わらないけど、ここは、完全なる浜辺だ。わたしの部屋はいったい…


「カワイイねぇ、お茶しない?」


『は…?』


あ、そうだ男の人がいたんだ。こんな状況下において生まれてはじめてのナンパに物怖じしない。

ーこの人に聞くしかない。聞くためにいるような人だもの。


『あ、あの…』


わたしは遠慮がちに男の人を見つめる。

よくみるとわたしはこの人に抱き抱えられていた。すぐ目の前にある瞳をまっすぐ見つめてーー

『ここは、どこですか?』


一瞬、笑顔だった男の人の顔が驚く。


「なるほど。それならここにいてもおかしくはないね。」

と男の人は何か思い付いたようでクスクスと笑う。


??


わたしの質問について何か言ってよ…あんな台詞いう時がくるなんて。
今更ながらコントのようなバカみたいなこと聞いてしまったと後悔する。


うつむいてしまったわたしを彼はアハハ、と笑う。

「心配しなくていいよ。君はきっとさっきまで全然違う場所で、全然違うことをしていなかった?」

ーーそ、そうそう!!

『は、はい!』


「だろうねぇ。ここは君の暮らしていた世界じゃない。」


『え…?』
いまなんて?


「そうだな…君が住んでいるチキュウという星ではないということだね。」




はい?





ここどこ星?
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