世界一初恋
□世界一物語「青川」
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あるところに
男と女がいた。
2人は幼馴染みで、仲が良かった。
誰もが2人は永遠に一緒にいると思った。
しかし
「天皇の后!?」
千秋は父に言われた言葉にビックリ仰天する。
「え?しかも、明日?いやあり得ない!ってー…拒否権は無い?はぁ?俺に?」
千秋は涙ながらに話す父の言葉をまとめる。
・明日
・天皇の后になる
・拒否権は無い
・天皇が自分に一目惚れしたらしい
えぇー!?
千秋は慌てて何十枚も重ね着している衣類を脱ぎ捨てて手短にあった薄く軽い衣類を着て屋敷の塀をよじ上り隣の屋敷に行く。
「芳雪っ!」
幼馴染みである芳雪の部屋の前で叫ぶ。
「何事だ?」
芳雪は部屋から出てくる。
「実は…」
千秋は芳雪に事情を話す。
芳雪は千秋の話を聞いた後物凄く不機嫌な顔をする。
「千秋、お前はどうしたいんだ?」
聞かれて、千秋は考える。
俺はー…
「芳雪と、ずっと一緒にいたい!」
「そうか。なら、一緒に逃げるか?」
「逃げる?」
千秋は首を傾げる。
「あぁ、俺と遠くに行って2人で暮らそう」
芳雪は人生で最初で最後になる自らの願いであり夢を千秋に告白する。
千秋の瞳を真っ直ぐに見る
「うん、行く」
千秋は簡単に考える間も無く決断する。
「良いのか?ー…何もかも捨てて俺だけを選「じゃあ準備するか!」」
芳雪の言葉を横から邪魔して千秋は背伸びをする。
千秋は芳雪を見て笑う。
「俺はお前がいれば幸せだから大丈夫!」
芳雪と打ち合わせした通り千秋は再び屋敷の塀を上り芳雪の部屋の前に行く。
芳雪は風呂敷を背負って部屋から出てくる。
「行くか」
「うん!」
2人は屋敷から抜け出す。
しばらく走ったり歩いたりしていると、青川まで来ていた。
「懐かしいな!ここで、良く泳いだよな!」
「あぁ、お前は真冬に素っ裸で泳ごうとして怒られていたな」
「えっ!?そうだっけ?」
「ー…俺も巻き込んだのに忘れたのか?お前は都合が悪い事は忘れるから質が悪いな」
「そんなことねーよ」
千秋は拗ねたように言う。
だが、自分が忘れっぽい自覚もあるので完全に否定し切れない。
「右と左の道、どちらに行くか千秋が決めてくれ」
「じゃあ、右。」
右の道に、葉を伝う露があり綺麗だったので選んだ。
「朝が来る前に出来るだけ遠くに行かないと追っ手が来るからな」
「おぅ!」
2人は右の道を歩む。
綺麗な露は千秋と芳雪を助けてくれた。
左の道には鬼がいたのだ。
運が良かった。
そして運の良い2人は、遠い遠い場所へ向かった。