白桃の籠 〜ハクトウノカゴ〜
□純白の壁 火神side
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一分も経たずに、家が見えるところまで来る。
すると、見慣れない顔の女が頭を抱えてうずくまっていた。
なんだ、具合でもわりぃのか?
駆け寄ろうとしたら、ソイツは急にすっくと立ち上がり、パアァァァとか効果音が出そうなくらいの満面の笑みで、スキップをし始めた。
なんだよ、元気そうじゃんか。
コロコロ表情変えて、変な奴。
なんだか興味が湧いてきて、後ろから声をかけた。
『おい。お前さっきからここでなにやってんだ?』
ソイツは、パッと素早く振り返って、俺の顔を見るなり頬を少し赤らめて、
あの笑顔になった。
向日葵。
そんな言葉が似合うやつだと思った。
なんか、フツーに可愛いじゃん。
そんなことをぼんやり考えていたら、
「あのっ、火神大我君ですよね、あの、
同居、させてください!お願いします!!」
『…ああ、…おう、……
って、はあぁぁぁあ!!!!!!!!!!!!!??????』
どっ、同居……!?
なんで初対面でこんなこと言われなきゃなんねーんだ、しかも知らない女に!!!!!!!!!!
つーかなんでこいつ俺の名前知ってんだよ!?
「ごめんなさい、ホントにお願いします!!
事情は後で話します、どうか住まわせてください!!」
暫く考えた末、
俺は、わしゃわしゃと自分の髪をかきむしりながら言った。
『…あー、わかったよ。
こんな状況で断れるワケねーだろ、ついてこい
そーいや、お前名前は』
頭を上げ、あの笑顔を向けられた。
『桃花空、です!』
桃花空、なあ。
『おい。さっさと行くぞ』
「………はい!」
彼女は、俺の後を駆け足でついてくる。
その姿に、思わず、笑みを溢した。
☆☆☆☆☆☆
第三章に続く
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