白桃の籠 〜ハクトウノカゴ〜
□水色の髪 〜ミズイロノカミ〜
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『というわけなんですよー』
「そーか、大変なんだな」
たった今、私は火神君に事情を説明中です。
とは言え、本当のことを話すわけにもいかないからでっち上げだけどね。
長い間祖父母の家にすんでたけど、祖母が去年の11月に亡くなって、祖父も先週亡くなった。
独りぼっちにならないようにと両親がアパートを手配してくれたのに、今日になって詐欺だったことがわかった。
だから、朝からずっと住める場所を探していた。
まぁたしかこのようなことを語った気がする。
多少無理のあるシナリオだけど、中学で演劇部だったこともあり演劇に自信があったし、火神君はちょっとオツムが弱いところもあるから、誤魔化せるだろう。
「…しようがねぇ…わかった、住まわせてやってもいーぞ」
シャアアア!!!!!!!
火神君、貴方は天使だ……!!!!!
『あ、ありがとうございます!!
すっごく助かります!!』
「おう…
…で、お前何歳なんだ」
『15…今は中3、受験生』
「同い年だな」
『え?』
マジですか。
タイミングのいいときに来たな…
でも、早くしないと誠凛を受験することができなくなる。
『火神君、』
「ん?」
『誠凛の書類っていつ出すの?』
火神君は、それだけでどういう意味か察してくれた。
「今日と明日」
『マジすか』
どうしよ、書類無いよ。
「おい」
困っていたら、火神君が一枚の紙を差し出してきた。
……願書。
「無いんだろ、
余分にあるから使えよ」
火神君、貴方マジ天使……!!!!!
『ありがとう!』
「今日はもう遅いし、明日の朝持っていけよ」
『うん!!』