漆黒の桜 〜シッコクノオウ〜
□紫の眼 〜ムラサキノメ〜
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万事屋で歓迎を受けて、さんざん皆で騒いだ後、私はソファーを一つ借りて、眠りについた。
次の朝。
私は五時に起き、届いた荷物を開けていた。
――もう使うこともないから、あげるね。お姉ちゃんなら似合うよ! ――
元気かな、病状が悪化したりしてないかな…
妹に昔もらった箱を取り出す。
その中のものを目にはめる。
神楽ちゃんにゆってもらった髪を残念だけど一旦といて、頭の上の方で一つにくくる。
鏡を見て確かめると、紫色の目の自分が立っていた。
なかなか様になっている。これなら男といっても不思議じゃない。
『よし。』
そうっと階段を降りて外に出て、お登勢さんの店の戸をノックする。
「なんだい、まだ店は開いてないよ…!!??
そのチャイナ服は、紅ちゃんかい!?」
『ええ、お願いがあるんですけど、男物の着物ってありますか?』
「ウーン…あ、だいぶ前にお客さんが忘れてった上着ならあるよ」
『じゃあそれ貸してください』
お登勢さんが はいよ、と言って奥に引っ込む。
しばらくしてから、着物を手に戻ってきた。
受け取って、チャイナ服の上を脱ぎ、着物を羽織る。チャイナはお登勢さんが預かってくれた。
『ありがとうございます、助かります
この事は三人には言わないで下さい。』
「わかった、いってらっしゃい」
『いってきます』
だいぶ太陽が昇ってきた。
はやく行こう、真選組屯所へ。