短い書物庫
□ぱうんどけーき
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翌日、フェアリーテイルにて。
「ドキドキ………ぐ、グレイ様、喜んでくださるかしら……」
でも大丈夫!
昨日徹夜して、何度も火傷して切り傷をおって、やっと完成したパウンドケーキ。
ジュビアの思いは、きっとグレイ様に届きます……!
意を決して、グレイ様のもとに向かう。
そして、大きく息を吸い、声をかける。
「あ、あの、グレイさ「グーーーレーーイっ!!」……ま…!?」
突然割り込んできたルーシィの声に、ジュビアは驚いた。
その拍子に、手に持っていた水色のラッピング袋がパサ、と落ちた。
「あ……」
拾おうと手を伸ばしたジュビア。
けれど、それが届く前に。
ぐしゃり。
「……え、」
潰れたラッピング袋。
踏んだのは、グレイ様、だった。
グレイ様はそのままジュビアには気付かずに、声をかけたルーシィの元へと歩いていく。
「はいっグレイ、誕生日おめでとう!」
「おぉ、サンキュ。嬉しいぜ。」
そういって、ルーシィの頭にポンッと手を置くグレイ様。
ジュビアの中で、何かが潰れる音がした。
目の前で踏みつけられたパウンドケーキのように。
ぐしゃり、と。