短い書物庫

□にゃんという日
1ページ/5ページ


「……これは、」

魔導士ギルド、フェアリーテイル。
フィオーレ王国きってのお騒がせギルドのクエストボードの前で、ジュビアは小さく呟いた。

季節は梅雨から夏へと移りかわり、ジュビアの嫌いな雨は幾分少なくなったものの、うだるような陽射しとむせ返る温度が襲いかかる。

額に張り付く髪をかきあげて、ため息をもらす。

「依頼書にまじって、魔法陣の書かれた紙が貼ってありますね…。誰かのいたづらでしょうか。」

この手の魔法陣に触れると、何が起こるかわかったものではない。

ジュビアは取り敢えず、ミラに報告しようと思い、前に傾けていた身体を起こす。
そしてそのままの動きで後ろを振り返り、目線をあげてミラを探す……

はずだったのだが。


視界に広がる桜色と、ほんの一瞬だけ遅れて伝わる鈍い衝撃。

ドゴッ!という音とともにクエストボードに叩きつけられたジュビアの背中には、輝く魔法陣が押し当てられていて。


次の瞬間、ギルドが白い光で満たされた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ