テニスの王子様
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「…椎葉さんって、指、キレイだよね。」
天使のように素敵な笑顔で突然そんなことを言われたら…
しかも、
片思いしている彼に、直接、二人っきりの教室で言われて見つめられたら………
嬉しくて顔は熱を帯るし、恥ずかしくて目線もそらしたくなる。
「…ふ、不二君の方がキレイじゃない……!///」
ペンを持ち、書くのを中断している、白くて綺麗な彼の右手に目線を移す。
彼はクスッとまた微笑んで、書く作業を再会した。
………初めて言われたな、そんなこと。
思わず、自分の指を見つめてみる。
その視線を再び彼に向けると、彼は丁寧な字で文字を綴っていてくれた。
窓から差し込む夕陽が、彼の横顔を明るく照らしている。
近くにいるのに、遠く感じられる彼の横顔を、
私は、ただ、見つめていた。
「……はい、出来たよ。」
ペンを置くと、彼は私に紙を差し出した。
「ありがとう。ごめんね、時間とらせちゃって……」
私はそれを両手で受け取ると、嬉しさのあまり思わず微笑んだ。
「別にいいよ、気にしなくて。…それじゃあ、僕は部活に行くね。また明日。」
彼は優しく微笑んで、教室を出ようとした。
その時、突然彼が立ち止まって、振り向いて一言。
「…さっき言ったことも…それに書いてあることも、本当のことだから。」
「え…?」
わけが分からず、ポカーンとしている私に、再び彼は微笑んで
「…本気だから。じゃあね。」
そう言うと去っていった。
しばらく呆然と立ち尽くして
そしてはっとして、彼の書いてくれたものに目をやる。
彼の書いていたのはプロフィール。
名前、誕生日、星座、血液型、趣味、特技、住所、電話番号………
そしてその最後の項目…
【好みのタイプ】
そこに書かれた綺麗な字
《指のキレイな人》
私は先程彼が出ていったドアを見つめた。
高鳴った胸
頭から離れない、
彼の微笑みと、あのセリフ。
『…本気だから。』
指先からロマンス
期待して…いいんですか?
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昔の作品(前サイト作品)をリメイク。
主人公と不二は名字で呼び合う、クラスメイト…っていう設定で。
不二の好みのタイプは「指の綺麗な子」らしいですよ(公式ファンブック情報)
Remake 080205
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