アイシールド21

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バシャンと澄んだ水に飛び込むと、瞳の中に青の世界が広がる。



揺らぐ水の世界は神秘的で、心の底から落ち着く気がした。



がばぁっと水面に顔を出すと、

今度は、高い青空が映った。



「もー!水町!またプール入ってるの?!」


「んはー!やっぱ夏はプールっしょっ!ユリアも入れよー!」


滴る前髪をかきあげながら、プールサイドで呆れたように立っているユリアにそう言うと、


「絶対いや!」


と即答された。



「ちぇー!」


口を尖らせれば、ユリアはやれやれといった感じで飛び込み台に座った。



「私が泳げないの知ってるでしょ?」


「俺が手取り足取り教えてやるって!」


「結構ですっ!」


「つまんねーのー!」



俺だって一年前までは泳げなかったんだぜ?


泳ぎながらそう言ったら、

「知ってるよ」と、自身の膝に頬杖をついた姿勢で見つめながら答えられた。



「私さー、こう見えて水町のこと尊敬してるんだよ?」


泳ぐのを止めて、プカプカと浮かびながらユリアを見つめると、彼女は微笑んでいた。




「水町はさ、『頑張り屋の天才』なんだよね」



『努力』じゃなくて『頑張り屋』?



聞き返すと、



「だって水町は楽しんでるでしょ、練習?」



「当たり前だろ」って言ったら、「じゃあやっぱり頑張り屋さんじゃん」と言われた。



「自分じゃわかんねー!」


仰向けになって浮かびながら言うと、


「天然だもんね、水町は」


とあっさり言われた。



誉められてるんだか、貶されてるんだか。



それでも、その言葉が嬉しかったのは事実で、


少し照れた俺は、はぁっと息を一つ吐いて、視線を広大な空に向けた。



真っ青な空が眩しい。



ユリアはまるで空みたいだ、って思った。



なんか、きれいなんだ。




好きなんだよな、俺。


ユリアのことが、好きなんだ。



でも、だからこそ、


今の関係を壊したくない。


…だなんて、俺らしくねぇか?


「…水町ー」

「んー?」

「変わんないでね」

「ん?」



「私は今の…頑張り屋の水町が好きだよ」





ガボン!




あまりの突然の、


そして、予想もしない言葉に驚いて、


立ち上がろうとした足が滑って、体が水に沈んだ。



今、なんて?(汗)



「がはっ!っ…ユリアっ、い、今なんて…?!」



ざばっと勢いよく水面に顔を出して、ユリアに視線を向けつつ聞き返したら、


ユリアは飛び込み台の上に立っていた。



「水町が好きって言ったの!」


頬を赤く染めながら、笑顔で言う彼女。



俺は「よっしゃぁ!!」と喜びを叫んで、ジャンプした。



「俺もユリアがすっげー好き!!」


って言って、両手を広げたら、



「知ってるよ!」



って、笑いながら言ったユリアが、俺の腕の中に飛び込んでくる。



俺はプールの中でユリアを抱き止めて、




水に彼女が溺れないように、しっかりと抱き締めた。


あぁ、



水に溺れなくなった俺は、



確実に今、




ユリアに溺れてる。





君に溺れる


水じゃなくて、俺に溺れて!




************


水町…よくまだ掴めてないかな?(汗)

彼の純粋さ…と言うか、天然さが好きです(笑)

080206



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