アイシールド21
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久々の帰り道は、一人で帰る時よりも静かに感じた。
破壊神と創造主
ACT.4 -見えない壁 -
「…真っ暗だね。」
「そうだな。」
「いつもこんなに遅いの?」
「今日は早い方だ。」
「そっか…遅くまで大変だね。」
「ユリアもいつも遅くまで起きているだろう。」
「あれ?なんで知ってるの?」
「ラボの明かりがいつもついている。」
ほんの少し、清十郎が笑った。
あ…久々に見た。清十郎の笑った顔。
「今は何を作っているんだ?」
「え?あ、えっとね、小型のGPS。」
「GPS?」
「んー…持ってる人の現在地や周辺地図がわかるの。」
できたら清十郎に渡したいと思ってたんだけど、それを言うのはまだ先にしておこう。
「…清十郎はアメフト楽しそうだね。」
「…あぁ。」
あぁ、これは…
相当熱中してるんだね、アメフトに。
「日課のロードワーク…今日は行かなくてよかったの?」
「…知っていたのか。」
「あー…うん、まぁ。」
何だか気恥ずかしくて笑って流すと、清十郎の持った紙袋ががさっと音を立てた。
中には工場で譲ってもらった部品がいくつか入っている。
その袋を清十郎に奪われたため、私の片手はからっぽだ。
手持無沙汰になった手に夜風が当たる。
「今日は体を休めろと監督に言われたからな。」
「そっか。頑張ってたもんね、練習。」
「あぁ…だが、いつもより練習時間が若干短かったからな。妙に落ち着かん。」
そう言った清十郎がふと立ち止まった。
それに慌てて私も立ち止まる。
「どうしたの?」
「…覚えているか?昔はよくここで遊んだな。」
視線の先には公園があって、昔よく一緒に遊んだブランコが風で僅かに音を立てた。
「懐かしいね…」
あの時小さかった私とあなたはもういない。
それがとても切なく感じた。
「私が転んだ時にさ、清十郎がおんぶして連れて帰ってくれたこともあったよね。」
懐かしいなぁと言葉がこぼれて、視界は空へと向かった。
今日は星が綺麗だ。
ふっと、私の前に人の気配がして驚いて視線を下せば、しゃがみこんだ清十郎の背中が見えた。
「せ、清十郎…?」
「乗れ。おぶって帰る。」
「え、いっ、いいよ!子どもじゃないんだし!」
笑いながらそう断れば、清十郎は視線だけをこちらに向けて言った。
「右足、怪我しているんだろう?」
「………なんで…知ってるの?」
「歩き方に違和感を感じただけだ。」
そう言うと清十郎はもう一度「乗れ」と静かに言った。
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