アイシールド21
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「ひょっとして、余計なことを言ってしまったかな?」
アメフト部員たちの賑やかな掛け声が夕焼け空に響いて消えていく。
ベンチに座ってその光景を眺めていれば、横から声を掛けられた。
「いいえ。ただ最近は一緒に帰ることなんてなかったので…」
ユニフォーム姿で立つ高見さんは、座って見上げるととても高い。
「昔は、一緒に帰るのが当たり前だったんですけどね。」
そう笑いながら言ってグランドに視線を戻せば、真剣な顔つきで練習に取り組む清十郎が目に入った。
「…初めて見ました。清十郎がアメフトしてるところ。」
「え?そうなの?」
「えぇ。…すごく楽しそうですね。」
「……複雑な心境ってとこかな?」
「え?」
「いや、なんでもないよ。はい、これ。」
「あ…ありがとうございます。」
「進も喜ぶよ。ゆっくり見て行ってくれ。」
そう言うと、高見さんは冷えたペットボトルのお茶を私に渡して、練習に戻っていった。
「今日の進、いつもより気合入ってんなー!」
そんな声がグランドから聞こえた気がした。
初めてみた彼の姿が嬉しくもあり、同時に胸が締め付けられた。
破壊神と創造主
(あなたが遠く感じるよ)
ACT.3 -fin-
2012/05/17