RKRN 5年
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もやもやする。
体調が悪いとか、そういうのじゃない。
言いようのない感情が胸のあたりに渦巻いている感じだ。
最近朝からそんな感じだから、夜になる頃にはぐったりしている。
食欲もあまりない。
夜も眠れない。
これを病と呼ぶのなら、恋煩いというのが適切だろう。
そんなことを考えながら、見慣れた廊下をとぼとぼと歩く。
教室に着くと、視界に真っ先に入るのは、窓際に座る一人の少女。
窓から差し込む朝陽が彼女を照らしていて、とてもきれいだ。
そしてその光景を見た瞬間、胸がきゅうっと締め付けられる。
クラス替えをしたばかりなので、クラスの大半は初めての人ばかり。
それでも僕は彼女のことを一年の頃から知っていた。
いや、一年の頃から好きだった。
だから、同じクラスになれて死ぬほど嬉しかったのに…
廊下側と窓際という短くも遠い距離に隔てられ、もどかしい。
それだけじゃない。
「西園寺、おはよう!」
「あ、竹谷くん。おはよう!」
あの子…西園寺さんと席の近いハチは、ああやって毎日会話している。
ハチがすごく羨ましい。
さらに言えば、
「西園寺、今日の委員会の資料できてるか?」
「あ、鉢屋くん、おはよう。はい、これ資料。」
三郎に至っては、一年の頃から西園寺さんと同じクラスで、しかも今年は二人とも学級委員だから毎日のように話をしている。
正直…殴りたいくらい、三郎が羨ましい。
僕はと言えば、席も離れているし、委員会も違うし、彼女との共通点は別段無く、ただのクラスメートとして毎日を過ごしている。
そんな毎日は思った以上に苦痛で、彼女を見てはため息ばかりついている。
恋なんて…するものじゃないな。
あまりの苦しみに耐えられなくなって、またため息をつき、恋をしたことを後悔した。
その瞬間、
「あ!」
という声が耳に届いて、俯けた顔を上げれば、
こちらに駆け寄る西園寺さんが視界に映った。
「不破くん!」
「…え?!」
駆け寄った彼女は、僕と机一つ分距離を開けて立ち止り、
そして笑顔を向けてこう言った。
「おはよう!」
たったその一言で、心のもやもやは吹っ飛んだ。
おはようの挨拶で満たされた
「お、おはよう!」と慌てて挨拶を返せば、彼女は再び笑顔を溢した。
その笑顔が再び僕の胸を締め付けたのは言うまでもない。
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初の単体雷蔵夢。
片思い、だけどほのぼの…になってればいいな(ぇ)
雷蔵オンリー企画『IF』に提出させていただきました。
素敵なお題までお借りしてしまい…本当にありがとうございました!
とても楽しかったです!企画って素晴らしいですね(*´∇`*)
ありがとうございました!
2010/11/19
水無瀬透
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