RKRN 5年

□脚
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昼休み。

ご飯を屋上で食べるのが日常。

購買で買ったサンドイッチを食べ終わって、半分以上残った紙パックの牛乳を飲みながら空を眺める。


「あー…いい天気だねー」

「千雪先輩って、いつも牛乳飲んでますよね。」

「そう言う兵助だって、いつも豆乳飲んでるじゃん。」

「体にいいんですよ、豆乳。」

「牛乳だって体にいいんだよ?」


右隣の兵助とのんびりと会話する。


「二人とも健康志向だよね。」


左隣に座る勘右衛門がにこにこしながらペットボトルのキャップを開けた。


「そういう勘右衛門は何飲んでるの?」

「え?ミルクティーです。」

「んで、三郎はブラックコーヒーか。あんた大人だね。」


正面に座り、渋いおじ様の描かれた缶コーヒーのプルタブを開ける三郎。


「先輩はブラック飲めないですもんね。」

「私は永遠の17歳だから。」

「いや、先輩今年18だから。もう大人の仲間入りだから。」


いつもの会話、いつものメンバー。

いつも私は一つ年下の彼らとここで食事する。

女は私だけで、あとは男5人。

兵助に勘右衛門、三郎に…


「あれ?そういえば、雷蔵とハチは?」

「あー、雷蔵は図書委員の仕事があって図書室。ハチは日直の仕事があるから教室で食うって。」

「へー。ところで、今日の当番って三郎、あんただよ。ちゃんと準備しといてね。」

「へーい。」


若干面倒くさそうな返事を返す三郎だけど、嫌がってるわけではないことがわかってるので何も言わない。

当番とは、放課後の部活動の準備当番だ。

私と彼らは茶道部。

部員は6名。

こんな男ばかりの茶道部もなかなか珍しいのではないだろうか。

まぁ、昨年私一人になった茶道部に、中学から茶道部の三郎が友達ひきつれて入ってくれたおかげで廃部を免れたんだけどね。

今では彼らは立派な茶道部員として、日々仲良くやっている。


「ねぇ、千雪先輩、来週午後から授業無い日、着物着て部活しましょうよ。」

「え?えーっと、来週の…木曜だっけ?うん、いいよ。」

「やった!」

「兵助は着物好きだねぇ。」


茶道部とは言え、なかなか着物着てお茶点てないんだけど。

確かこの前も兵助の希望で着物着せた気がする。

いまどき珍しい少年だ。


「兵助は女性の和装姿が好きなんだろ?」

にやりと笑いながら三郎がそう言うと、顔をぼっと赤らめる兵助。

「へぇ〜そうなんだ?」


…ん?

あれ、でもウチの部で女は私だけなんだけど…


「なんだよ、そういう三郎だって和装の女性好きなくせに!」

「まぁな〜でも俺はミニスカートとかも萌えるぞ!!」


あれ?

なんか、いつのまにか「萌え」の話になっちゃってるよ、お二人さん!

兵助と三郎がお互いの好みの服装についてわーわー語りあってるのを傍観する私と勘右衛門。


「勘右衛門はどっちだ?!」

「え?俺?」


あら、とうとう勘右衛門まで話に巻き込まれたみたい。


「勘ちゃんはどっちがいい?!ミニスカートと着物!?」


なんか真剣な表情の兵助と、期待したような表情の三郎。


「んー、俺はー…」


勘右衛門の好みは和服美人系じゃないかな?

奥ゆかしくて、年上で清楚な美人な。

そんなことを考えながら牛乳を飲もうとストローに口を付けかけたら、


「ミニスカートだな!!」


にこやかな回答が飛び出した。


え??


「え!?い、意外!!」

「え?そうですか?」

「俺も意外でびっくりした。」


兵助も驚いてる。

しかし、次の発言がさらに私を驚かせた。



「ミニスカートは好きですよ、脚が見えますし。」




To be continued...


2010/09/17
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