APH
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「前から言おうと思ってたんだが」
「何?」
「お前、俺のこと好きだろう?」
「……は?」
「いや、良いんだ。それ以上言うな。大丈夫、俺様はお前の気持ち十分に理解してるから」
「いや、何も言ってない…というか、あんた何かすごい勘違いしてない?」
「いや、俺様は痛いほどお前の気持ち理解してるから。恥ずかしがるなよ。いやー俺様って愛されてたんだな〜!」
「……」
暖かかった室内が一瞬で冷める。
まるで冬将軍が到来したかのような冷たい風が、びゅおうと私の体を吹き付けた。
「だって、これ俺様へのクリスマスプレゼントだろ?こんな大きなケーキとか、照れるぜ。まぁ、甘いものは嫌いじゃねぇし?お前の気持ち受け止めてやるよ!」
私は目の前で嬉しそうに語り続ける彼から、自分の手元に視線を下ろす。
雪のように純白の生クリームに、真っ赤なルージュのような苺。
おいしそうなホールケーキは、我ながら惚れ惚れするできで、
満足感に浸りながら、一人食べようとテーブルに運んでる途中。
どこからともなくやってきたコイツは、自他共に認める『俺様』で、
だからこういう行き過ぎた勘違いしても許されるとか思ってるのかしら?
こっそり、いや、だいぶ堂々とドン引きしてると、いそいそと椅子を引くギルベルトの姿が目に入った。
「ほら、早く座れよ。今コーヒー入れてやるから。」
ほんのり赤らんだ頬と優しい笑顔。
意外にも優しく紳士的な行動に、不意にどきりとした胸。
これは、ただのおやつだったんだけど…
というのは建前で。
クリスマスの予行練習だなんて、言ってやらない。
「あー、俺様って幸せすギルぜー!」
ケセセセっと笑いながらコーヒーを入れる彼。
そんな彼のウキウキしたような後ろ姿を見ながら、私は静かに笑うのだ。
甘い人
甘い考えのあなたと、そんなあなたに甘い私…
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勘違いギルベルトを書くつもりが、ツンデレ彼女とデレデレギルになった(^q^)
クリスマスにケーキ焼いてあげようと思った彼女と、自分のためのケーキだと疑わない、嬉しくて仕方ないギル。
二人楽しすギルぜー!な幸せ両思い
拍手お礼夢
2010/12/23-2011/02/21