□軌道二十二 尾獣!!
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森の中を走りながら、アズサは思い出す。
何故、七班が砂隠れに向かい、走っているかを。


――――――――――――


それは、数時間前。
火影の執務室で、突然伝えられた。


「砂隠れの風影が、【暁】という組織の者に、連れ去られたと。
…たった今、連絡がありました!」


その言葉に、任務の指令を待っていた七班のメンバーは、目を見開く。


「…これより、カカシ班に改めて任務を言い渡す。
直ちに砂隠れの里へ行き、状況を把握し、木ノ葉へ伝達…。
その後、砂隠れの命に従い、彼らを支援しろ。」


――――――――――――


すると、サクラが立ち止まる。


『どうしたの?』


「テマリさん!」


テマリも、こちらに気づく。


『もしかして、テマリさん。
砂隠れのこと聞いてない?』


「何のことだ?」


サクラが、テマリに救援要請の内容を告げる。


「なに!我愛羅が!
…嫌な予感がしてたんだ…。」


「…ここから砂まで、三日はかかるからね…。
急ごう。」


「…ああ。」


『大丈夫だよ、テマリさん。
我愛羅は絶対に私達が助けるから!』


アズサの笑顔に、テマリは少し驚いた表情をして、そして笑みを浮かべる。


「お前の言葉は、何だか安心するな。」


『えへへ……。』


四人にテマリを加え、一行は再び走り始める。

ナルトは一人、先陣をきる。


「ナルト…いくら急いでいるからって。
隊は乱しちゃダメ。
そう熱くなるな…。
さっき自来也様にも、そう言われたんだろう?」


里を出る時、ナルトは自来也に何か言われていた事を思い出す。


「…………気にくわねーんだってばよ…!
あいつらが、オレや我愛羅を狙う理由くらい、オレにだって分かる…!

サクラちゃんもアズサも、もう知ってんだろ…。

オレの中に、九尾の妖狐が封印されてんの……。」


『うん。』


「我愛羅もオレも…オレ達はバケモノを体の中に飼ってっからな…。
それが目当てなんだ、あいつらは!

それが、気にくわねェ!
オレ達をバケモノとしか見てねェ。
あいつらの好き勝手な見方が気にくわねーんだ!!」


ふと、サクラは幼い頃のナルトを思い出す。
里の全ての人間が、ナルトに対して一歩引いて歩いていた。


「あいつは、オレと…全部同じだった…。
そして、あいつはオレよりも、一人ぼっちで。
ずっと戦ってたんだ!

…【暁】に狙われてた…今度もオレと同じだ…!
それなのに!
いつもなんで、あいつばっかりが損な役回りになっちまう!?
あいつばっかりが!!?」


ナルトは真っ直ぐ感情を言葉にする。


「…だから、だからどうしたって。
ちんたらしてらんねーだろ!
今度こそ、さっさと助けてーんだ!」


『そうだね。
早く、我愛羅もナルトが傷つかないように、【暁】をフルボッコにしなきゃだね。』


「オレ達だけじゃねーってばよ。
アズサも、あいつらに狙われてんだろ?
何でか分かんねーけど。」


『んーっと。
多分、私が異世界の人間だからだよ。』


アズサの言葉に、カカシ以外が目を見開く。


「何言ってるんだ?」


『何か、【異世界の巫女】なんだってさ。
だから、変なチャクラ持ってるわ、狙われるわ。
もう、散々。』


三人はカカシを見る。


「本当だよ。
アズサは異世界から来た。
【異世界の巫女】って言うのは、昔、異世界から来た人がそう呼ばれていたから、その名前を取ったらしい。」


『へー、初耳。』


「あんたのことでしょ。」


サクラの突っ込みに、アズサは苦笑する。


『だって、それくらいしか分かんないもん。』


「まあ、アズサが何だろうが、関係ないってばよ。
とにかく、アズサも守る。
そんだけだ。」


『それは、私もだよ。
ナルトや我愛羅のためにも、絶対に負けない!』


「ナルト…アズサ…。」


サクラは二人に尋ねる。


「………アンタたち、逢ったことあるんでしょ…うちはイタチに…。
そして、彼に狙われている。

私もこの二年半、ただ修業だけしてたわけじゃないわ。
綱手師匠の書斎に勝手に入りこんだり、外に出て調べるだけ調べた。」


サクラが自分でやれることをしていた。
アズサとナルト、カカシは、そのことに驚く。


「サスケくんが殺したい相手って…実の兄、うちはイタチの事でしょ…。
【暁】の一員の…。」


『そうだよ。』


「アズサ……。」


『サスケとアズサは、イタチ兄ぃに……家族を殺されてる。
私は、復讐なんかしてる暇があったら、寝たいって思うタイプだけど……サスケは違う。
どんな方法を使ってでも、イタチ兄ぃを殺したいと思ってる。』


「だから、サスケくんは今。
大蛇丸の所で力を手に入れようとしてる…。
けど、大蛇丸はサスケくんの体が目的なんでしょ。
しかも、あと半年しかない…。

そして、その大蛇丸は元【暁】のメンバーの一人だった…。
つまり、私が言いたいのは…こういう事よ。
【暁】に近づけば近づくほど、大蛇丸の情報にも近づける。
そうなれば、おのずとサスケくんにも近づける。」


『まあ、今回の任務は……私達にとって、一石二鳥のチャンスにして、絶対にタダでは帰れないってトコかな?』


アズサは好戦的に笑う。


「そして、私達がサスケくんを助け出すまでのタイムリミットは、およそ半年…。」


「うん!」


サクラは拳を強く握り締める。


『サクラ。』


「どうしたの?」


『一人で背負い込まないで。
私達、チームなんだからさ。』


「アズサ……。」


『だから、サスケのことも【暁】のことも、ナルトと私とカカシせんせーと。
全部全部、4分の1ずつね。』


「うん。」
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