鬼行文
□俺と平助と体育倉庫。
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キーンコーンカーンコーン
「なぁマジでオレ土方先生に怒られるんだけど」
今の原田に効果音をつけるならズケッだろう。
ハァーと深い溜め息を原田がついて藤堂は頭を困惑させた。藤堂の良いところが裏目に出ているのだろう。藤堂は学生だし、普通ならそうだろう。
だがムードぶち壊しだ。
「お前ぇちょっと黙れ。」
「え、何で?」
「………いいから。」
「わひゃうっ!!」
黙らせるために耳を舐めあげると、甲高い声が。耳が弱い事は前から知っている。保険医の山南という教師に教えてもらった。教師関係の間柄、そんな事は容易だった。山南が何故そのようなことを知っているのかは企業秘密というものだ。特に自分の恋人の弱点なんて絶対忘れない。
「何でオレの弱点を…!!」
「好きだから」
「好きだからって…」
再び口づけをするのだが…
キスになれてない藤堂は口を固く閉じたまま目をぎゅっと開かないまま静止していた。そんな状態の藤堂に呆れて溜め息をした。
「口…閉じんなよ」
「?…キスってこうじゃねぇの?」
「楽にしろ」
「え、でも、…んんっ」
躊躇させる暇なんて与えさせない強引なキスだった。藤堂は初めて味わう大人なキスに翻弄された。体が火照り、何も考えられないほど夢中になっていた。そして自分から舌を絡ませた。
(やっべぇ…なんか…すげぇ気持ちい……)
藤堂は原田の濃密なキスに翻弄されていたのだった。
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