鬼行文
□泣いた平助赤鬼。
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ありきたりだが、むかしむかしあるところに、
強く優しい心を持った青鬼と、少し弱虫で純粋な赤鬼が住んでいました。
青鬼の名前は左之助といいます。
体がムキムキで金棒を振り回す、のではなく槍を使います。
赤鬼の名前は平助といいます。
いつも元気で人間と鬼は仲良くするべきだと考えて、どうすればいいのかと日夜励んでいます。
それが少し裏目に出たりしてたまに落ち込んでいるのだが。
「にんげーん!!仲良くしようぜっー!!!」
「ぎゃああぁあ!!!鬼だわぁああ!!!」
「また寿司を狙いに来たのか!!?そうはいかんぞ!!それ!!!」
「いてっ!てめぇ石投げんな!!」
「黙れ鬼!!迷惑野郎!!失せろ!!!」
「……っち」
(今日も失敗だ……。)
落ち込んで山を登り自分の家に着きました。
お隣は青鬼が住んでいます。青鬼は屋根に上っていつも酒を飲んでいました。
その様子を見ていた青鬼が声をかけます。
「お前ぇどうせまたダメだったんだろー」
「うるっさいなー別にいいだろ。」
と、自宅のドアの取っ手に手を掛けました。
すると青鬼が少し眉を寄せて赤鬼に、
「お前ぇソレ…人間にやられたのか?血が出てんぞ」
「あー石投げられただけ。どうせすぐ治るって」
「そりゃそうだが…。もう人間と関わるのはやめろ。」
またその話か、と赤鬼は嫌そうでした。
彼ら鬼達は傷がすぐ治ります。この程度の傷なら5分もしないうちにみるみる治っていくのです。
不思議な力を持ち日本の角がある鬼を村の人間達は余計に怖がっているのでした。
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