鬼行文
□僕と涙と幻の酒。
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ことの発端は些細なものだ──────。
「僕のこと好きなんですか?」
「っ!!?な、何だよ急に…」
「土方さん僕のことちゃんと愛してくれてますかぁ?」
(ンだよ…そんな事かよ……)
心の中でそう呟いた。
土方がいつものように自室で仕事の手紙を書いていた。沖田は壁にもたれ刀を抱えこみながら、ぼっーとしていた。いつもなら斎藤がいるはすだが、今日は別件で大阪に行っている。
「今、そんな事かよって顔しましたね?」
ずいっ、と土方の横に座り顔を覗きみる。土方は図星をつかれ少し焦ったが、仕事をする右手を止めなかった。
「僕のこと嫌いになったんですか?」
「……違ェよ。今は仕事があるから、もうちょっと待ってろ」
な?、と頭を撫でた。
沖田は少し膨れっ面だがまたいつもの定位置に戻った。
そして土方は沖田の様子がおかしいと気づいた。
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