鬼行文
□私と着物と驚異なる殺気。
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『お願いです…!……助けてください!!私、絶対に誰にも言いませんからっ……!!!』
雪村千鶴が来て数ヵ月が経った。
あの羅刹の存在を知ってしまったからには死んでもらうしかないという事だったが、雪村綱道の娘だと云うので今もなお、新撰組に置いている。
そして雪村に女友達ができた。
「千鶴ちゃんっ!久しぶり!!」
「お千ちゃん!!どうしてここに!?」
「千鶴ちゃんが島原に来るって聞いて飛んできたのよ!!」
「そうなんだっ」
門の前の掃除をしていた雪村に軽快に話し掛けたのは、京で知り合った千だった。隣には美しい女も。
実は最近、島原で良くない噂が広まっていた。新撰組に奇襲をかけるという計画の話だった。それが噂だけなら構わないのだがどうやら本当らしい。その事について、土方も頭を悩ませていた。
『だったら私が、』
と、雪村が名乗り出た。
最初は反対する隊士もいたが致し方ない事態なので、雪村が島原に行き内容を探ることになったのだ。
「今日は千鶴ちゃんに合うお召し物を用意してきたの!」
「わぁ、綺麗!」
千は風呂敷を少しだけほどき、中を見せた。紅の着物、大海原を思わせる素敵なものばかりだ。雪村は嬉しそうにしている。
「私、副長の方々に挨拶しに行ってくるから先に行ってて」
「うん♪」
一時、千と別れることになった
千鶴はほうきを片付け部屋へ向かおうとしたら後ろに────
「何持ってるの?」
「お、沖田さんですか!?」
「あぁ着物か」
「お千ちゃんが持ってきてくれたんです。」
「へぇー楽しそうだね」
廊下でそんな事を話していると、沖田は平然と雪村に付いていった。その様子を斎藤は凝視していた。
(何故、雪村と総司が?…何故……)
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