Short Story

□優しそうに見えますか?
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優しそうに見えますか?




骸Side




ここ、黒曜中に転校してはや数日。

ここを制圧…基、支配下に置く為に生徒たちや教員に接触する中で、彼女…なまえとは、あきらかに他とは違った接触をしていることに自覚はあった。




「なまえ、一緒に帰りましょう」

『そんな、悪いよ』

「遠慮なんかしなくても」

『でも…』

「またなまえが一人怖い思いをして欲しくない、という僕の我儘ですから、お気になさらず」

『じゃあ、お言葉に甘えて…』




あの日を境に、僕はなまえと帰りを共にしている。

誘う度に、悪いからと断りを入れようとするのはなまえのクセみたいなものなのだろう。
好い加減諦めるべきだと僕は思うのだが。


少し歩いたところで、ふふっと笑うなまえ。

気付かぬ間に、何かおかしなことを言っただろうか…




「何をそんなに笑っているのですか?」

『あ、ごめんね…骸くんは見た通り、優しい人だなぁと思ったから』

「っ、」




動揺していることを悟られまいと、必死になって震える声を抑えながらなまえに質問をする。




「僕は…




優しそうに見えますか?」





そう問えば、うん!!と満面の笑顔で答えるなまえ。


けどこれはあなたへの優しさではない。自分の醜い欲。


僕がなまえと一緒に過ごす時間を作りたいという欲望を満たすため。


ほぼ黒曜一帯を支配下に置いた時点で、彼女に危険が及ぶはずも、もう無いというのに…それを理由にしなければ、共に居られないと思う僕は、本当に優しいでしょうか?


あなたには悪いですが、心のどこかで、あなたと知り合えたきっかけでもあるストーカーに感謝してしまった僕を知ったなら、その眩しい笑顔で僕のことを優しいとは、やはり言ってはくれないでしょう?


To be continue…
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タイトルは「確かに恋だった」さまより、「仮面紳士な彼」からお借りしました。

久々に復活を更新…

2017.4.15

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