Short Story

□好きだって言ったら?
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好きだって言ったら?










リング争奪戦から9年と10ヶ月ちょっと…


ボンゴレ本部は、ミルフィオーレファミリーの手により、壊滅の危機に晒されていた。






***





「あ、なまえチャン♪目が覚めたみたいだね?」





ぼんやりとした視界に入ったのは、白い色。声のした方に向いても、やっぱり白しか見えない。

壁から床まで、白を基調にした部屋。

そして何より、私に声をかけた張本人。





「おはよ♪」

『……白蘭』





名前を呼んだら、更に笑みを深くした彼。

その顔にイラっときて眉間にシワがよる。そんな私に、カワイイ顔が勿体無いなぁ…なんて笑いながら近付いてくる。


彼と私の間には、銀色の鉄格子。






「気分はどう?」

『…すこぶる最悪かしらね。動物扱いされて』

「それは…そうしないと、なまえチャンが逃げちゃうからね。ボクだって本当は、手荒なマネはしたくないんだ」





…ウソつき


私を、こんな大きな鳥カゴに鎖で繋いでおいて…


私の居場所だった、ボンゴレファミリーをあんなにもグチャグチャにしておいて…




ボンゴレ本部壊滅を前に、ミルフィオーレファミリー率いる白蘭から、会談を申し込まれた。

どう見たって罠の可能性が高いのに…うちの優しいボスは、その会談を引き受けた。会談には、ボスと、何故か私が指名されて…


会談の内容はこう。


ー停戦をするかわりに、みょうじなまえの身柄をミルフィオーレに明け渡すことー


これが白蘭の提示してきた条件。

疑問には思ったけど、私としては好条件に思えた。私一つの命でファミリーが助かるというのだ。

居場所のなかった私を、あたたかく迎え入れてくれたファミリーに、私が出来る最大の恩返しだと。




でもボスは、首を縦には振らなかった……。

ゴメンね、ボス。


私の我儘で…。



けど、どうしても、私はファミリーを守りたかった。例えそれが、ボスの言う“間違った方法”だったとしても。





『…ねぇ、質問してもいいかしら?』

「んー、ボクが答えられることだったらいいよ?」

『…貴方にしか答えられないこと。どうして、停戦の条件に私の身柄を望んだの?』




「それは、ボクがなまえチャンを


好きだって言ったら?」






閉じられていた瞳から、紫色がのぞいた。

甘い言葉のハズなのに、違和感しかなくて。






『…人を好きだという人の行動だとは思えない。そもそも、貴方に好きという感情があるの?』

「なまえチャン、結構辛辣だね」

『貴方は、物事を面白いか否かで見ているんじゃないの?』





そう問えば、少し驚いたように目を見開いた後に、フッと目を細めて微笑まれた。



ああ、本当に…

((クエナイコ/ヒト…))


ーーーーーーー

イメージは、スタドラのヘッドとサカナちゃん。ここまで険悪じゃないけどw

タイトルは『確かに恋だった』様の「翻弄する彼のセリフ」より。

2014.08.22

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