Short Story
□特別だとか思わないでくれる?
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「ほら、行くよ」
キャッチしたヘルメットを思わず凝視する。
『雲雀さんはヘルメット…』
「僕に必要だと思う?」
『…いいえ』
雲雀さんとバイクの二人乗り…
死なないよね…?
*******
『見回りって、並盛商店街も行きますか?』
「そのつもりだけど」
『じゃあ、その、ラ・ナミモリーヌに寄ってもいいですか?』
「……いいよ」
頭の切れる雲雀さんのことだから、ラ・ナミモリーヌに寄りたい理由は当然バレてるもよう。少し考えた後で了承してくれた。
「いらっしゃいませ〜」
店内に入ると、甘い香りが私の鼻をくすぐる。
さっそくショーケースを覗くとお目当てのものをみつけた。
『すみません、コレ二つください』
「はい、かしこまりました」
トングで運ばれるケーキを眺める。
ホールケーキが小さくなったようなデザインのカップケーキ。フワフワした甘さ控えめのホイップに、酸味の効いたイチゴとクッキーで作られたロウソクが乗っている。
コンセプトは“小さなパーティー”というだけあって、今日にはもってこいだと思う。
代金を支払って店を出ると、雲雀さんの姿はそこにはなかった。
ーーービュッ!ドガッ!!
「ぐはっ…!」
『……』
近くの路地裏から、聞き慣れたくもなかった効果音と人のうなり声が聞こえてきた。
そっと路地裏を覗くと、目をキラキラとさせてトンファーを振るう雲雀さんの姿が。
『雲雀さん…』
「ああなまえ、遅かったね」
おっかしいなぁ、そんなに時間かかったかな…
なんて口が裂けても言えるはずもなく。
『すみませんでした、待たせてしまって…』
「別にそこまで待ってないけどね」
いや、どっちですか!?
「くっそ…雲雀恭弥に女だと?イチャつきやがって…」
「その女、よっぽど特別なんじゃねぇの?こいつから壊してやろーぜ?」
今のがイチャついてる風に見えたのだろうか…少し話しかみ合ってなかったよね?
確かにさっきのやりとりって、デートで待ち合わせした恋人同士の定番会話っぽかったかも。
どうしよう、そう思うとちょっと嬉しい!
…でも、そう思うのは当然私だけ。
「僕にとってのなまえ?
特別だとか思わないでくれる?
(なまえは君たち草食動物とは違うだけだよ。むしろ僕にとっては普通)
((ですよね〜…))
End
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バトルマニアがっ…!!!
2013.05.05