Short Story

□月女神の恋事情
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月女神の恋事情

※神話パロ






ここに、窓辺に頬杖をついて、外を眺める女の子が一人……。






『はぁぁ〜…』






……ハッ!!

私としたことが、溜息が出だしだなんて…!!

みなさん、おはようございますという方も、こんにちはの方も、今晩は。


何故今晩はなのか…ですか?
それはですね、私が月の女神だからですよ♪
巷では、アルテミスと呼ばれる私ですが、なまえと呼んでください!


私の真名……とても気に入った名前ですので!



……た、溜息の理由は…そ、その…





「「「「きゃ〜〜〜っ!!!オリオン様〜〜〜〜っ!!!!!」」」」

『……』





黄色い声(最早悲鳴)のした方を見れば、多くの女性に囲まれた黒髪の男の子…かなり離れたここからでも、彼ーー恭弥くんの不機嫌さは手に取るようにわかった。

その鋭い眼差しで女性達を睨みつけても、怯むどころか、歓声をあげられる始末。

そんな彼に思わず苦笑した瞬間、漆黒の瞳と視線が絡まり合い、微笑まれてしまった。

その刹那、私の顔はみるみると赤くなるわけで……





『っ!!』




え、今の聞こえた?地獄耳?

とか

今日もかっこいいなぁ〜

とか、いろいろ思うところはあったけど…


とりあえず、彼にこんな顔を見られたくなくて、全力で顔を逸らしました。

もっと彼ーー恭弥くんを見ていたいけど……無理!!

たまに見せるあの微笑み…私にしか見せないと言った恭弥くんを思い出し、先程まで抱えていた、周りの女性達への黒くてドロっとした醜い気持ちは、心なしか優越感へと変化したのと、それに合間って生まれた気恥ずかしさから、顔から熱が引くのにかなり時間がかかってしまった。







彼ーー恭弥くんについてお話ししますね。


オリオンと呼ばれる彼は、この天界一の狩人。


銀色に輝くトンファーで獲物を狩るその瞳は、まさしく獰猛!

けれど不意に見せるあの優しい眼差しや微笑みに私の心はいとも簡単にわしづかまれてしまったわけで…



彼の真名は雲雀恭弥くん。


真名で呼び合う私たちは、いわゆる恋仲…


そう、彼は私の自慢の恋びt「なまえ〜〜〜!!!」

『なんなの、兄様!勝手に部屋に入ってこないで!!』

「反抗期ですか、なまえ!?僕の可愛い可愛い妹が反抗期だなんて……やはり、雲雀恭弥は消すべきのようですね…」

『兄様…』





このパイナップルは何かって?

いいじゃないですか、ただのパイナップルってことで。





「な、雲雀恭弥…あんなにも女性を周りに侍らせるとは……なまえ、あんな女たらしはやめなさい!」

『あれは恭弥くんが好きでやってるんじゃないの!女の人が勝手にくっついてるの!!』

「あの程度の女性を遠ざけられないなんて、満更でもない証拠でしょう」

『それは兄様でしょ!!』




兄様の話し(というより、声)をもう聞きたくなくて、その背中をグイグイ押して部屋から出す。

何ですか、なまえ。スキンシップですか?なんて余裕な表情に更に腹が立って蹴っ飛ばしてやろうかしらと思った私は悪くないはず!!




『さっさと出て!』

「あ、なまえ!兄の僕との語らいの時間を…」

『結構です!』




扉向こうの情けない声に耳を塞ぐ。中々彼と会えないのは、彼の仕事が忙しいから…そもそも、その仕事が忙しいのも、私がある意味軟禁状態にあるのも、兄様の所為だというのに…!

これで自然消滅したら、兄様を恨んでも恨みきれません!




『はぁぁ…』




さっきまでいた窓辺に再び腰掛ける。けれども、もう既に彼の姿も、彼に媚び得る女性の姿もなかった。


月女神の恋事情

シスコンパイナップルの所為で、少々?先行き不安です…


End
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一昨日は中秋の名月、昨日はスーパームーンだったので、月関連!←

2014.09.10

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