Short Story

□シグナル
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「バカ」




最近、オレはよくこの女……みょうじなまえに何故か『バカ』と言われ続けている


ただひと言、『バカ』で終わればそれでいい
(いや、よくはねーけど)



ところが最近、ひと言ではすまないらしく……





「バババカバーカバカバカかー!!!」

「テメェがバカだろ!」





オレはみょうじの頭を掴むとギチギチと力を入れてやった






「あぅ…」

「テメェは何がしてぇんだよ!」





毎度、顔を赤くしながら『バカ』とオレに向って叫ぶみょうじ。一体何がしてぇんだよ、本当によ…





「獄寺君、ストップ!みょうじさんの顔、真っ青だから!!」

「ハハハッ、またやってるのな♪」

「じゅ、10代目!…と、野球バカ」

「バカは獄寺の方だろ?な、なまえ?」

「っ!た、武、変なこと言わない!!」






ズキン…




このアホ女その2をなまえと呼ぶ山本はみょうじとは、所謂幼馴染という関係らしい。

幼稚園、小学校、そして今に至るまで、同じクラスで過ごしてきた仲だと山本は至極嬉しそうに教えてきたのを思い出す。


家庭科が得意だが、小学生のときに持ち前のドジを発揮し、「みょうじなまえ血の海事件」と名付けられるまでの事件を起こしたこと


涙もろい性格で、感動系の映画を見ようものなら必ず泣くこと


かなりのビビりで、ホラーものは全般ダメなこと

(まともに見れる映画あんのか?)



他にもいろいろと山本はオレにみょうじのことを、自分のことのように話してきた。



その度にオレは、さっきみたいに何故か鎖骨下辺りが「ズキン」と軋み、モヤモヤとした気分になっていた。



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