Short Story

□バカか天才か
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バカか、天才か







うぁー…眠い。ひじょーに眠い…

そしてこの計算式長い…本当、何て呪文?


そろっと教室を見回す。程よい気温と先生の淡々とした声が合間って、私に襲いかかってくる睡魔という名の強力モンスターの攻撃力は、格段にアップしたと言っても過言ではないだろう。


その証拠に、何人かの生徒のライフはゼロのようだ。


授業中に寝たいのは分かるが、私的にはどうもそれが悔しく思えて出来ない。睡魔なんかに負ける私じゃない!…と授業開始のチャイムで決意したハズなのに、現在ギリギリの攻防戦を繰り広げている。


なんとかして意識を保とうと、手を動かしたり、首を回してみたりするも、効果は今ひとつ。


どうしたものか考えていると、ふと隣の席の彼…獄寺くんが視界に入った。



転校して来た後のテストで、かなりの高成績を残した彼は、一見ガラの悪い不良的存在だが、一種の天才なんだと思う。

そんな彼をカッコいいと思って…隣の席で妙にはしゃいで。
その綺麗な容姿のせいか、読書してる姿があまりにも様になっていて、獄寺くんの姿にキュンキュンして…まあ、その時読んでいた本のタイトルが『月刊世界の謎と不思議』で、ちょっとビックリしたけど。それでも私は…気付いた時には既に恋に落ちてた。



先生が黒板に向かっているのをいいことに、隣に視線を向ける。やはり睡魔と戦っているのか、どこか悩まし気な表情でノートをとる獄寺くん。意外と真面目に授業受けて…

…って、ん?

板書を写しているにしては、手の動きが違うように見えた。字を書いているにしては、手首の向きが…?



獄寺くんの手の動きの違和感に、私の眠気は少し飛んだようだ。少し体を傾けて、そっと獄寺くんのノートを覗き込む。そこに書かれたものは、文字とイラスト…というよりも、アイコンのようなものの一覧表のようだった。



…いや、何書いてるの?

全くもって数学じゃないよね?






『ねぇ獄寺くん…それ、何書いてるの?』

「みょうじ…授業聞けよ」

『いや、それ獄寺くんにも言えることだから。それで?何書いているのか、教えてくれないの?』

「…G文字だ」

『G…は、え?』





思わず好奇心に負けた私は、獄寺くんに聞いてみた。

その答えは、私の予想のはるか斜め上…というか、予想の域を脱していた。





「いいか、G文字っつーのはな…」





キラキラとした目で、意気揚々と説明する獄寺くんだけど、眠気のためか、はたまた別の要因なのか…どうも私の頭には入ってこないらしい。





『えっと…ごめん獄寺くん、眠くて頭どうかしちゃったの?』

「んだとみょうじ!お前、コレの凄さがわからないのか?」

『ぇ…』

「いや、みょうじならわかるハズだ…つまり、オレの説明がまだまだ未熟ということか…!」





え、何コレ。わからないって言ったら負けなゲームか何か?

それに獄寺くんの中の私の評価って、どうなってるんだろう…それ以前に、獄寺くんの評価は揺らいだ。



バカか、天才か
(それでもキミが好きな私はバカだろうけど)



(獄寺にみょうじ!何話している…今は授業中だぞ!!)
(あ、)
(ケッ)
((イラッ)問3を獄寺、問4をみょうじ!!)
(3√5π㎠)
(x=6-2√5)
((チッ)正解だ。……次の問を…沢田。…沢田!!)
(…えぇぇっ!?)←今起床
End
ーーーーーーー

コミックスを読み返してたら、書きたくなったw

この後G文字でのコミュニケーションが始まる(笑)

2014.08.02
 

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