雨天決行試合
□1回裏
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《1回裏》
並盛……
高校生になって2年目…
本当に中途半端な時にやってきた。
…中途半端な私にはお似合いかもしれない。
この土地に、私を知っている人はいないだろう。
それはある意味、私にとっては心の支え。
「さぁ、入ってくれ」
静かな廊下に響いた指示に、私は僅かに微笑みを携えながら従って、教室へと足を踏み入れた。
「みなさん、はじめまして。みょうじなまえと言います。ふつつか者ではありますが、どうぞよろしくお願いします」
頭を下げれば、拍手や、よろしくー!と言った声が上がる。
なかなかに良さそうなクラスに当たったなと思い、顔を上げてニッコリ笑う。
「よし、みょうじの席は山本の隣だな!山本、手上げろ!」
「っ、あ、はい!」
先生に促されて、手を上げた男の子のもとへ。
質問は後でなーと言う言葉に、ちょっとドキドキする。
『よろしく』
「ああ。オレ、山本武」
山本、武…
記憶の奥底から、似たような名前が顔を出そうとしてる。
ううん、似ているんじゃない。同じなんだ。
昔、“彼”がよく遊んだ男の子が、山本くんなのだろう。
「あのさ、オレらって、どっかで会ったこと…ねぇかな?」
『……私とはないと思うけど。人違いじゃないかな?』
「そっか」
そう、私とは。
はじめましてだよ、山本くん。
続.
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4月に加えたのに、超放置してしまった…
2014.05.06