超次元リリカル銀魂D×D
□第0章:転移のワープゾーン
1ページ/4ページ
とある戦隊舟。
深夜の中,そこには6人の人間がいた。
「本当にやるでござるか、晋助?」
っと、ヘッドホンで曲を聞きながら言いだしたのは鬼兵隊の一員,河上万斉。
「今更何を言っているのです?この春雨の科学者が作った移動装置で坂田銀時達が行った異世界に行けば、我らの目的が果たせるかもしれないのですよ?」
万斉にそう言ったのは、武市変平太。
鬼兵隊の謀略家。ちなみに本人はフェミニストと言っているが、ロリコンの疑いがある。
「先輩の言うとおりっす。晋助様の目的を果たす為にもこの計画はぜったいじゃないっすか!」
武市に続いて言いだしたのは金髪で赤い着物姿の女性。
来島また子。
「紅い弾丸」と恐れられる拳銃使いである。
「くくく・・・いよいよド派手な祭りが出来そうだ。この腐った世界を潰す為の最大の血祭りになりそうだ」
不気味な笑いをして男は楽しみに待っていた。
雲に隠れていた月が出てきた。
月明りが男の顔を照らした。
左目に包帯を巻き、派手な着物を着ている。
譲夷浪士の中で最も過激で危険な男。武装集団『鬼兵隊』のリーダー。
高杉晋助。
黒き獣を内に飼い、世界の破壊を望む男。
「・・・・・・で、お前さんはどう思うんだい?」
煙管きせるを加えたまま高杉は後ろにいる人たちに声をかける。
一人は露出度の高い魔女のような衣装の女性。
もう一人はフードをかぶっているが体型から男と分かる。
「貴様のいうお祭りというものは少なからずも『あいつら』がくる可能性もあるということだ」
「それに俺はその祭りが大好きでね」
女と男は乗り気満々だ。煙管を離して、ふーっと煙を吐いた。
「お前さんも計画に乗れば、この腐った世界を潰せるからな・・・・・・せいぜい仲良くしようぜ」
獲物を睨みつけるその恐怖の瞳に、二人は人間とは思えない高杉の怒りに少し関心した。
「ふ、素晴らしいものだな」
「良い目だ…」
高杉は夜を照らし出す満月を見て,くくくっと不気味に笑う。
「さぁ……世界の終焉をかけた祭りと行こうじゃねぇか」
ある天人と手を組んだ『鬼兵隊』の新たな計画。
闇は静かに動き出した。
江戸のかぶき町。
万事屋のオーナー・坂田銀時と宇宙最強の戦闘種族『夜兎族』の神楽は、暇を持て余していた。
ゾーマとの闘いから数カ月。平和な毎日を過ごしている。相変わらず依頼はあんまり来ないが、装置を使ってたまにフェイト達が遊びに来る。
銀時はため息をついた。
「暇だな…」
「そうアル…」
ボソッと小さく呟いた。
「おはようございます」
と新八がいつものように挨拶してくる。
「新八〜暇だからお前一回自殺しろヨ」
「なんでぼくが登場早々自殺しなきゃいけないんだよ!!」
「暇だからに決まってんダロ。これだから新八はしょせん駄眼鏡(しんはち)ネ」
「おい待て!!何と書いて新八って言った!!」
いつものことだが、これはこれで退屈である。
そこで思いついた。
「銀ちゃん、私達がなのはちゃん達の世界に行けば良いアル!!」
「おおー、そうだよそれだよ!何故それに気付かなかったんだ!?」
「え!?なにはちゃんに会える!?」
銀時は椅子から立ち上がり,ジャンプを片手に歩きだした。そして新八も木刀を持ちだし、神楽も傘を持ち出す。
玄関を出て,目指すは源外の工場。
「む…銀時とリーダーではないか」
源外の工場へ向かう途中、後ろから声をかけられた。
銀時は立ち止まって、振り返った。
そこにいたのは,攘夷志士の集団の1人であり,『狂乱の貴公子』桂小太郎とペット(!?)のエリザベスだった。
「あ…ヅラとエリー」
「ヅラじゃない桂だ」
神楽にヅラ呼ばわりされて突っ込む桂。そして銀時に話しかける。
「銀時、これから何処に向かうんだ?」
「ああ、ちょいと暇だからフェイト達の世界に向かうんだよ」
っと銀時は軽く答えると……。
「なら……俺とエリザベスも連れて行ってくれないか?」
「は?」
銀時は片眉を上げた。
「向こうの世界に行けば、しばらくの間は真選組の追っ手から身を隠す事ができるからな」
などと言う桂らしい理由に、断ってもしつこくついて行くだろうな。断るのメンド癖さくなったのかか、動向を許す。
まぁ居ても邪魔になるわけでもないし。
桂とエリザベスを加え,源外の工場へ向かう。
すると、
「月詠?」
「銀時」
銀時達の前に、一人の女性が現れた。
顔に傷があり、口に煙管をくわえていて、黒い着物を着ている。地下都市『吉原』の自警団『百華』の頭・月詠である。
「偶然アル!!どうしたあるか、こんな所で?」
「いや、日輪に”少しは外で休んできたら”と言われてな」
「ああ、そう」
確かに月詠は、ほとんど休まず吉原を見回っている。
日輪が月詠に休みを与えるのもわかる。
銀時がそんな事を思っていると、月詠は桂とエリザベスに気付いた。
「そっちの男と天人は誰だ?」
「俺の知り合いのヅラとエリザベスだ」
「ヅラじゃない桂だ」
桂が銀時の言葉を訂正する。
「わっちは月詠でありんす。以後よしなに」
「俺は桂小太郎。好物はそばだ」
「なんでいちいち好物を言うアルか!!」
好物を言い出す桂に神楽の突っ込みの拳が炸裂して,桂は血を吐いて倒れる。
苦い顔で哀れみする月詠にエリザベスがプラカードを出して挨拶する。
『初めまして、エリザベスです』
「……ああ、こちらもよろしく」
不気味そうにエリザベスを見て挨拶する月読。月詠との挨拶を済ませ、桂は銀時に小さく声をかけた。
「銀時,貴様も随分と罪な男になったものだ。フェイト殿達以外にもこんな可憐な娘と付き合って…」
「オーイ。誤解を招く発言はやめてくれ、ヅラ君」
「ヅラ君じゃない桂だ」
5人と一匹は源外の工場の前に到着した。なんやかんやで、月詠も一緒に来る事になった。中には、何やら機械を弄ってる老人がいる。
「おーい、じーさん」
「生きているあるか,老いぼれ」
「源外さん」
銀時と神楽と新八が老人を呼んだ。
「ん?」
老人が振り返った。
赤いゴーグルを付け、白髭をたくわえた老人は、平賀源外。江戸一番の機械技師であるが、ある事件を起こして今は指名手配されている。
「ちょいと装置動かしてくんねーか?」
「なのはちゃん達に久し振りに会いたいアル」
「そりゃ構わねーが……」
源外は桂とエリザベスと月詠を見た。
銀時が源外に近づいて、小声で話し掛けた。
「ヅラとエリザベスはじーさんと同じ指名手配犯だから安心しな」
「そうか?まぁそれならいいんだが、あの娘っ子は誰だ?また別品連れてきたな」
月詠を見ながら言った。
顔に傷があるとは言え、月詠はなかなかの美人である。
「まさか銀の字、お前の…」
「違ーよ」
即座に銀時は否定した。
「んな事より、とっとと装置動かしてくれ」
「わかったよ」
源外は移動した。
銀時、神楽、新八、桂、エリザベス、月詠の四人と一匹は装置の中に入った。
初めて装置の中に入った月詠は、珍しそうに中を見ている。
向こうに行くのは久しぶりだな。
銀時がそう思っていると、装置の中が赤くなった。
すると、スピーカーから源外の声が聞こえた。
「銀の字。装置の中に赤いボタンがあるだろ?そのボタンを押すと」
銀時は嫌な予感がした。
そして予感は的中した。何も知らない月詠が、ボタンを押した。
「装置の出力が最大になって制御出来なくなる。絶対に押すな」
「ジジー!そっちを先に言えェエエ!!それに何でオメーがボタン押してんだ!?」
源外に向かって怒鳴った後、月詠にも怒鳴った。
「いや、すまん……気になってしまって…」
月詠は素直に謝った。
「つーかこんなボタン、前までなかったぞ!リリカル銀魂シリーズと同じ展開になってしまったじゃねぇか!!」
銀時が怒鳴っていると、装置内の赤い色は濃くなり、電気がビリビリする。
「まぁ行き先は、なのはの世界だから大丈夫だろ」
装置の外にいる源外は、呑気にそう言った。
「ヘルペス!ヘルペスミーシー!!」
神楽が頭を抱えて叫ぶ。
「ヘルプミーだよ神楽ちゃん」
神楽に突っ込む新八。
「武士たる者どんな状況でアレ,常に冷静でなければならぬ」
『うむ,その通り!』
「慌てても何にも起きぬから落ち着け」
桂、エリザベス、月詠は冷静だった。
『『落ち着けるかァアアア!!!』』
ありったけの声で、銀時と神楽と新八は怒鳴った。
直後、赤い光は強くなり、バチッと強烈な閃光を放った。
光が収まり、源外は装置の扉を開けて中を見た。5人と一匹の姿はなかった。
「まぁ銀の字なら大丈夫だろ」