hate
□雨時々曇りのち晴れ〜後輩〜
1ページ/2ページ
「ブンちゃん」
いきなり声をかけてられたこと、
それに、それが仁王だったという事に二重で驚いた。
「……何だよぃ?」
疑いの目を向けながら、取り敢えず返事をしてみる。
「参謀、見とらん?」
「柳?見かけてねェけど。」
ガムをぷくーっと膨らませる。
「ありがとさん。」
仁王はそう言うとすぐに背中を向けて教室を出ようとしてしまう。
だから、俺は焦って、
「…っ待てよぃ!」
「何じゃ?」
「…あー、えーっと…」
用事なんてすぐにでっち上げられると思ったのが間違いだった!
寧ろそれが得意なのは前にいるこの男の方で……
「ほい」
目の前にずいっと差し出されたものを見て、一瞬驚いた後ついつい笑ってしまった。
「お菓子かよぃ!」
「…腹減っただと思ったんじゃが」
「そんなに年がら年中腹減ってる訳じゃねぇよぃ」
「それじゃああげ損じゃなか!?ちょ…返しんしゃい!」
「俺貰えるもんは貰っとく派だから」
パッチンガム的なのじゃないよな…なんて思いながら袋を開けると、ごくごく普通の…いや、高そうなチョコレートだった。
「こんな高そうな奴貰っていいのかよぃ!」
「だから返しんしゃい」
「やだ、食う」
「…まぁ、良かよ。もともと幸村からの貰いもんじゃしな。」
はぁ、とため息をつきながら。
「幸村くんからの?」
「親戚からたくさん送られてきた言うてな」
「へぇ…」
何だか幸村くんらしいと思った。
高そうなチョコもイメージにぴったり。
「あ、そういや仁王、柳探してんじゃねぇのかよぃ?」
「呼び止めたのはブンちゃんじゃろ」
…そうだった。
いやでも何話せば…
別に用事あった訳でもねぇし…
「……参謀探し、手伝ってくれん?」
「おぅ!」
特に断る理由も無いし。
そんなことを思っていると、それに、と仁王が続けて言った。
「参謀と話すんはブンちゃんにとっても有益かもしれないぜよ…」
「…ふーん?つーかどんな用事だったんだよぃ」
「赤也について、参謀に呼び出されたんじゃ」
仁王はひらひらとメモを振った。
「ブンちゃん、今、迷っとるじゃろ、赤也のこと。」
「………」
図星すぎて返す言葉も無かった。
……赤也…か…