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□雨時々曇りのち晴れ 〜だけど〜
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部活数分前…
俺、赤也、仁王…それから、柳以外のR陣が三原を囲んで談話していた。
「赤也、怪我…大丈夫?」
「大丈夫っス」
どうやら休み時間にクラスの奴等から暴力を受けたらしく、赤也は身体中に傷や痣を作っていた。
赤也が反撃すれば、簡単に相手を返り討ちにできるだろう。
だが、それをしなかった理由は明白だ。
県大会を前にして喧嘩等をすれば出場停止は必然。
もしかしたら向こうもそれを分かっていて、そこにつけこんだのかもしれない。
(卑怯だ……)
思わず手を強く握り締めた時
「幸村こそ、どうしたんじゃ?頬腫れとーよ。」
「うわっホントだ…大丈夫っスか!?」
真田に殴られたとこか……
赤也がまるで自分が殴られたのかのように痛そうに顔を歪めている。
「…何でもない。大丈夫だよ。」
そう言ったのに、赤也は痛そうな顔のまま。
「あの…俺のせい…っスよね…?」
不安気に揺れる、瞳。
「そんなこと無いよ。さあ、俺達だけでも練習しようか。」
皆は美原にご執心みたいだからね
それは心の中で
「赤也…きっと、大丈夫だから。」
半ば自分に言い聞かせるようにゆっくりと小声で言ってみた。
「……はい!」
赤也が満面の笑顔を見せる。
正直、これからどうなるかなんて全く分からないし、真田との一件で気が滅入っていた。
でも、不思議だな。
この笑顔を守るためなら、いくらだって頑張れる気がするんだ…