hate
□雨時々曇りのち晴れ 〜説得〜
2ページ/2ページ
思った通り、赤也は屋上に居た。
「赤也。」
「…何か、用っスか?」
赤也は俺の顔を見ようともしない。
まあ、当たり前だろう。
「退部届、悪いが受け取れないな。」
「…何でっスか!?」
やっと俺の方を向いた赤也の顔は、掴みかからんばかりの表情だった。
「逆に聞くが、何故お前が退部する理由がある?」
「何でって…そりゃ、分かるでしょう!?俺が居ると、部が割れるし、幸村部長にも仁王先輩にも迷惑かけるし……」
「あの二人は、迷惑だ等と思っていないだろう。」
そう言うと、赤也はそれに…と続けた。
「俺が居なければ、柳生先輩と仁王先輩もダブルス解消せずに済んだのに……」
「…お前は何か、悪い事をしたか?」
そう問えば、赤也が驚いたように目を丸くする。
「俺が信じていないとでも思っていたか?」
「でも…そんな素振り…一度も…」
「あぁ、見せていないからな。」
赤也の頭から?が見えるような気がしたから、
「これ以上部が割れても困るだろ?」
そう付け加えれば、赤也は目が回らないのか心配になるほどにぶんぶんと頷く。
「…赤也、何もしていないのに退部しなければならないなんて、理に叶わないと思わないか?」
「はい…」
「それに、これからの試合、勝ち進むにはお前が必要なんだ。よって、これは受け取れない。」
赤也に封筒を差し出せば、素直に受け取り、くしゃっと丸めてポケットの中に入れた。
「美原を見返してやろう。」
そう言ってクシャッと頭を撫でると、くすぐったそうに笑って返事をした。
「はい…!」