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□だ い す き !
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「ねぇ、陸ちん」
「おう?」
「お菓子ない〜?」
俺の質問に、うっ、と固まった。
「お か し か ・ ・ ・ 。
あーーー、あー、あ!あった!」
じゃーんって効果音が似合いそうな感じで出てきた、飴。
棒のついてるやつ。
「なぁに、これ」
「コーラ味の飴」
「・・・ちょうだい」
「あげるために出した」
にかっと笑う陸ちんが可愛かった。
飴が渡される時に、一瞬手が触れ合ったとこが熱いような気がする。
「あっ、おれさー、このあと用事が「待って」
踵を返してどこかへ行こうとした腕に手を伸ばして、掴んだ。
「・・・行かないでよ」
我儘だなぁ。
「陸ちん、一緒に居て」
困らせるために言ってるわけじゃない。
でもほら、陸ちん困っちゃってるじゃん。
何言ってるんだろ。
やっぱり離したくない。
ただの独占欲。
もっと、もっと陸ちんを俺の目に写したい。
綺麗な、オレンジ色を。
「・・・あー、
・・・しゃあないな、もうちょっとだけ!」
俺の我儘にも、醜い独占欲も、笑顔を受け止めてくれる陸ちんが大好き。
でも、きっと陸ちんは優しすぎるんだと思う。
「陸ちん」
名前を一つ呼んで、にこと笑ってみる。
「だいすき」
「はは、おれも」
そう言って、俺の手を握る。
小さい手。
俺がデカイだけかもしれない。
骨張った指の間に、白くて細い指が絡んできた。
ああ、熱が伝わってくる。
「ねぇ、陸ちん。だいすき」
「さっき聞いたよ」
微笑む顔、ほんとに可愛い。
ほんとに、
ほんとに俺は陸ちんのこと、
だ い す き !
(ちゃんと言葉で伝えるから)
(ちゃんと聞いていて)