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□継続的トキメキ
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来いと言われたのに居ない。
なにこれ。ある意味フェイント。
んー、暇だから棚でも物色してみようかしら。

色々と買ったりするタチじゃないからないってなさそうな・・・


気がしたけど入ってた紙切れが。
無駄に綺麗な封筒ね。アメリカのこじゃれた子が使いそうなね・・。


そして無断に開けてみるあたしを外道と笑うがいいわ。
だって暇なんだもの死にたくなるほど。



とりあえず開けてみる。
読んでみる。
それで半笑い。

いやだあたし変な人。

これあたしがオレットに宛てた手紙だったんだ。
吐きそうなほど笑いそうなのを耐えて半笑い。
結構我慢してるわよあたし。
なんでこんなもん取ってあるのよ。
いつの話よ。


「何してんだ」

「あァら、オレット。
来いって言われたのに居なかったからちょっとねェ」

無言でほっぺた抓られる始末。
他人の物を勝手に弄ることよりも、あだ名の方で怒ったんだと思うわ。
この人、オレットって言われるの嫌いだから。

「・・・いたいのよォ」

「じゃあ言うな」

「はいはい・・・」

どうしてこうも面白みのない人なのかしら。
まぁいいんだけど。

「これ、なんだか覚えてる?」

こじゃれた封筒を差し出してみる。
オレットは訳わかんないみたいな顔してるけど、覚えてないのかしら。

「・・・あぁ・・・これか」

「なにその半笑い」

「字が汚ねぇなぁと思って」

「ひっどいわねェ、もう」

そこまで汚いとは思わないわよ。
まぁ自分の字だから人様より汚いとは思うけれどもね。

少なくともオレットよりは綺麗だとは思うわよ。ええ、勿論。


「それより、あなたが紙切れ取っておくなんて珍しいわねェ。
てっきり燃やしちゃったのかと思ったわァ」

「あぁ・・・」

なにこの微妙な反応。
ぶん殴りたい。

「捨てようにも、捨てられないんでな」

「たっちゃんみたいな言い分ねェ。燃やしたら?」


そう言ったら舌打ちしそうな顔された。
捨てることを促したら怒られるってどういうこと。


「・・・しかし、汚ねぇ字だ」

「二度も言わなくていいわよ馬鹿」

「内容はまぁまぁだな」

「それだけ言えば、最高だった」

「・・・ふん」

これぞツンデレ。
褒めた後に目を逸らすのはツンデレの証。

「それで、これを送ってから3年以上返事がないんだけど、どういうことなのかしらァ。

一方通行だなんて、悲しいわねェ・・・。
片思いの中で生きる乙女の辛さを、知らないのかしらあなたは」


感情をこめて女優のように訴える。
さあどう動くのよ王様。
ツンデレだからどう動くのよ。

「・・・あぁ、そうだな。可哀想だ」

はい、哀れんだだけで終了。
何故ないんだ。
言葉を。あたしに。くれ。


「あー・・・それだけ?」

「あ?」

「・・・聞いたあたしが馬鹿だったわ」

期待するだけ無駄と言うことを学習。
どんだけ鈍いんだこの赤。

「おい、」

「なによ」




「好きだぜ、彩葉」


王様ここでか。
こ こ で。
下げて上げた。
やってくれるわ。



「最高、尊」




後々聞いた話。
オレットが手紙を捨てようとしなかったのは、手紙はいつまでも残るから、だって。
案外可愛いとこあるのよね、王様なのに。


継続的トキメキ
(色褪せない言葉の綴られた紙切れ)

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