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□勝てる気がしない
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久々の威月さん。
かなりキチガイに仕上がっております。



ーー


「よぉーっすハッタ!」

「・・・ノックはしろよ」

「あっは、ごっめん☆」

反省する気のないこいつの『ごめん』は何度聞いたことか。
毎度のことノックはしないわ、どこでも寝るわ、大飯食らいだわ、

女にするには勿体ないくらいの裸足女だ。


「んで、何しに来んだよ」


「え?夜這い」


「ぶはっ」


真顔でそんなことを言うもんだから、飲んでたお茶吹きかけた。
実際、喉に詰まるギリギリ手前だった。

「ななな、何言ってやがんだ、てめぇは・・・!」

狼狽える俺を見た威月は、いつもと変わらないヘラヘラとした表情に戻る。


「え?なになに?本気にしてくれた?
いーやー、ハッタってさぁ、案外わかりやすいよなぁ。
あ、元からか」

あはははと笑うこいつがなんだか憎らしくて仕方なくなってきた。
こっちは只でさえ色々と悶々としてる訳であってだな。



「よし、じゃあ一発行こうか」

「ば、馬鹿かお前・・・!」

「なぁんで。俺は自由に行くよ」


どこまで自由すぎるこいつにはもうおてあげと言った感じ。
逆らおうにも、何故か逆らえる気がしなかった。


「いやぁ、やっと処女喪失かぁ・・・。

あ、ハッタの話だぞ」

「・・・なんで俺が・・・」

絶対的に俺が下。
男が上で女が下。
その概念をぶち壊すには丁度良すぎる。


「仲良くしようぜぇ。性的な意味で」


半笑いの顔をぶん殴りたくなる。
会った当初もそんなこと言ってたような気がする。


『おいおい、そんな怒るなって』

『只のジョークだよ、ジョーク』


「・・・どこがジョークだよ」

吐き捨てるように溢した言葉を、こいつが掬い上げた。




「恋人として、仲良くしようぜ。


愛情表現的な意味で」



何故、こんな奴を好きになったのかはわからない。
女らしさが欠片もないに等しいこんな奴が。



「夜は長いぞ」

「馬鹿、変態」

「そりゃどーも」



ベッドの上、軽く肩を押されて倒れ込んだ。
朱色の爪が俺の頬を撫でる。

そうか、喰われるのか。
サバンナのど真ん中で食われる草食動物の気持ちがなんか理解できたような気がする。
もうどうにでもなれ。

ひとまず言えるのはこれしかない。




「だいすきです」



勝てる気がしない
(自由を愛した女には)
(色々と振り回される)





お久しぶりです、威月さん。
最近裏紛い展開多い

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