.

□シンプルに愛を伝えよう
1ページ/1ページ

放課後、委員会も終わって帰ろうと下駄箱で靴を履き替えたところ。

学校の疲れと、荷物を背負いながら学校を出ようとしたとき、めちゃくちゃ大声で名前を呼ばれた。


「か〜つ〜ら〜ぎ〜せ〜んぱぁぁぁぁい!」


何事かと思って振り向いたけど居ない。
じゃあ上かと思って左側の校舎の屋上を見たらこれはびっくり。


「さ・・・左門・・・」


身を乗り出すような勢いであたしに手を振ってきた。
だから振り返してみた。

笑顔が返ってきた。




「せんぱ〜い!俺実は〜!






先輩のこと好きなんですよ〜!」


「だから〜!

俺と〜!


付き合ってくださ〜い!」


一言一言聞くたびに息が止まりそうになる。

しかもあんなこと大声で叫ばれた時にはもう顔が赤い赤い。

なんてことをしてくれてるんだあの子は。


暫く黙りで、俯いていたあたしに


「お返事くださ〜い!」と言われて


「よろしくお願いします〜!」って叫び返した自分にびっくりした。


まぁでも左門のことちょっと好きだったからいいんだけど。
いいんだけども。


「やった!





ねぇ聞きました今の台詞!
ちょっと



不知火先輩!」


まさか

まさか

この不知火であの不知火の名前がでてこようとは。



だるそーに左門の横に立った不知火に


「何仕込んでくれてんだよば〜か!」

って叫んだ。

それを聞いた不知火は


「伝説の不知火流告白法を伝授しただけだ〜!」

とか言うもんだからこいつには何を言っても仕方ないと思った。


左門の頭を軽く押して、そのままどっかいった不知火。
後でぶん殴らにゃ気が済まない。

「せんぱ〜い!あー、じゃなくて


澪せんぱ〜い!」


「一緒に帰りたいんで〜
そこで待っててくださ〜い!」


声を張れるほどの元気は無かったからとりあえず腕で〇を作ってみた。

そしたらすんげぇ勢いで屋上から消えた。


年下彼氏に振り回されそうな予感がして、小さく笑った自分が居た。




後日、後輩の竹谷くんに「公開処刑食らったって聞きましたけど」と言われて吹き出した。

「あんなの只の恥さらしっすよ」

竹谷くんも、あの伝説の不知火流告白法で不知火に公開処刑と言う名の大胆告白法を実行された。3ヶ月くらい前に。

「でも、好きだったんでしょ?」

そう言ってみたら、恥ずかしそうで、嬉しそうな顔で目を逸らすだけだった。

まぁ確かにありゃ公開処刑だわな。


シンプルに愛を伝えよう
(TPOっつーのを知ってるか、不知火蒼空)
(あ?なにそれ?トッポ?)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ