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□彼の弱体化
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『快晴快晴。』
『少々肌寒いのを打ち消すような陽の光。』
(いい天気・・・)
『いつものように起きて、』
『いつものように』
「ほら!起きる!朝だぞ!」 澪
「あー・・・はいはいはい・・・。もうちょいもうちょいー・・」 俺
「時間は限られてるの!ほら起きる!」 澪
「あー!!!寒い寒い!」 俺
「外走り回れば大丈夫でしょー。
早く着替えて」 澪
「へーへー」 俺
『同室の布団を引きはがして起きるように促す。』
「髪結ぶのめんどくせぇ・・・」 俺
「まったくもう・・・。
髪梳かすくらいはしなさいよ。
結ぶのは後でやってあげるから」 澪
「どーもー・・・」 俺
『同室が自立しないのは自分のせいかもしれない。』
『でも世話を焼かずには居られないこの性格。』
「あーぁ・・・・」 俺
「あ、ちょっと」 澪
『頭がカクカクしていた。』
『こいつ、胡座かいたまま寝る気だ。』
「二度寝しない!早く食堂いってらっしゃい!
みんな居るから!」 澪
「あーいよ・・・」 俺
『なんでこんなにもきちんとできないのか不思議・・・。』
『食堂に着いたらついたでこの煩さ。』
「お前零すなよー!」
「口の閉まり悪すぎだろ」
「よく言うぜ・・・・」
「それ俺の!」
「ふざけ俺の」
「間を取って私」
「それは氏ね」
『・・・あら?』
『滝夜叉丸が居ないような・・・・。』
「ねぇ、綾」 澪
「はぁい」 綾
「滝夜叉丸は?」 澪
「なんか、体調が悪いようなので、寝かせてありますよー。
委員会で無理して活動してるからじゃないですかねー」 綾
『もぐもぐと食べながら事情を説明してくれた。』
『風邪でもごしらせたか・・・。』
「そっか。ありがとう」 澪
「おや。
先輩、朝ごはん食べないんですか」 綾
「あ、うーん・・・。
後ででいいかな。
わざわざありがとね」 澪
『そのままうちは食堂を出て四年生の長屋へ走っていった。』
「僕も風邪引こうかなー」 綾
「それはやめろよ喜八郎。
私たち、誰もお前の看病なんてしてやれないよ」 三木
「三木ヱ門くん、それはね、
先輩がやってくれるよ」 タカ
「・・・それが狙いなのか、喜八郎・・・」 三木
「さぁねー」 綾
ーーー
「滝ー、入るよー」 澪
「・・・はい・・・・どうぞ・・・・」 滝
『返ってきた返事は大分枯れていた。』
「大丈夫、滝?
最近委員会で無理したんじゃないかって、綾が言ってたけど」 澪
「喜八郎のやつ・・・。
そんな訳がないだろう・・・。
この滝夜叉丸が、委員会の活動如きで体調を崩すわけが・・・。
げほっごほっ・・」 滝
『いつものをやろうとしたようだけど、咳で遮られた。』
『思いっきり風邪だね。』
「はいはい、安静にして。
寝てればすぐ治るから。」 澪
『優しく言ってやれば、滝夜叉丸はゆっくりと口を閉じた。』
「熱はー・・・大丈夫みたいね。
食欲はある?」 澪
「・・・・まぁ、少しは・・・」 滝
「そっか。じゃあお粥作ってもらうから、ちょっとまっててね」 澪
『立ち上がろうとした時、袖を掴まれた。』
「・・・どうか、した?」 澪
『滝の目は悲しそうな目をしていた。』
『なんだろう、子供がお母さんに縋るような目?』
「え、あ、いや・・・なんでも、ないです・・・・」 滝
『そう言ったら、袖から手が離れた。』
『なんだったんだろう。』
「待っててね。すぐ戻ってくるから」 澪
『安心させてあげるために、頭を撫でてから、部屋を出て食堂まで早歩きで行った。』
ーーー
「・・・・はぁーぁ・・」 滝
『言おうと思ったんだけど、言えなかった。』
『なんで言えないのか、大体は知ってる。』
『自分の勇気が足りないからだ。』
『踏み出す勇気が欲しい。』
「・・・・なんかなぁ・・・」 滝
「勇気を俺にくれぇぇぇぇぇ!!!!」 俺
「うえぇぇぇ!?」 滝
『天井から声が聞こえてきた。』
『長くて青い髪が天井から垂れていた。』
『結ってないからなんか、凄まじい事になっていた。』
「とでも思ってるんだろ。勇気は自分で探して拾えよー」 俺
「え、あ、あぁ・・・」 滝
「日頃からお前は自己主張だけしといて、気持ちは伝えてないからな。
気持ちを言え。感情を言え。まぁ頑張れ」 俺
「・・・あ、あぁ・・・」 滝
『襖が開いた。』
「・・・・えぇぇぇ!?」 澪
「よっす澪。
お母さんしてるな」 俺
「おま、え、ちょ、なにして・・・・」 澪
「いやー、六松から逃げてるんだよー。
天井裏来ら死亡フラグだけど」 俺
「今大分ナチュラルに六松言ったね」 澪
「もういいだろ。六松で」 俺
「いや良くないから」 暴
「うおぁ!?
・・・Σいってぇ・・・・」 俺
「なに落ちてんのさ」 澪
「いやぁ、ビビッたわ」 俺
「捕まえた」 暴
「捕まった・・・・・」 俺
「・・・あのさ、」 澪
「なんだよ。今精神的に頑張ってるんだよ」 俺
「どんだけ私の事嫌いなの」 暴
「大丈夫愛してるから」 俺
「そら〜っ!!!」 暴
「ここ病人居るんだけど」 澪
「あ、たっきーごめん。
すっかり忘れてた」 俺
「滝の存在を忘れるとかどゆこと」 澪
「まぁそゆこと」 俺
「まぁ委員長には俺から直々に延髄斬りと共に伝えておくから、心配すんな」 俺
「小平太の延髄お大事に」 澪
「うそでしょ。斬るなんて聞いてない」 暴
「さぁな!
そして逃げる!」 俺
「あ、待て」 暴
(どどどどど)
「なんだったのよ」 澪
「さぁ・・・?」 滝
「あ、はい。お粥。
はい、口あけて」 澪
「え、あ、自分で食べれますって・・・!」 滝
「遠慮しなくて大丈夫だから。
はい、あーん」 澪
「・・・・・あ、あーん・・・」 滝
「どう?」 澪
「おいしいですよ。
とっても」 滝
「そう、よかった。
おばちゃんに教えてもらってね、作ってみたの」 澪
「そ、そうなんですか・・・」 滝
「まぁ、おばちゃんには勝てないけど、もうちょっと頑張って、いつかみんなに手料理を振る舞いたいなぁなんて思ってるんだよね」 澪
「澪先輩なら、できますよ」 滝
「あら、ほんとう?
嬉しいなぁ」 澪
(すごく喜々としてる)
「はい、これでおしまい」 澪
「ごちそうさまです」 滝
「お粗末様」 澪
「それじゃ、ちゃんと寝ててね」 澪
「あ、あのっ・・・!」 滝
「ん?」 澪
「あ、ありがとうございました・・・・!」 滝
「・・・ふふっ。
そんなにお礼しなくても大丈夫よ。
いいえ、どういたしまして。
困ったらまた呼んでね」 澪
「はいっ・・!」 滝
「結局言えてないじゃーん。
もー、お馬鹿ちゃん」 俺
「・・・・・・なにをしているんだ」 長
「おぅ!?」 俺
「盗み聞きするお馬鹿ちゃんはどこの誰だろうな」 長
「なんだろう、怖い」 俺
「・・・・来い」 長
「いーやーだー!!!!
お説教はもういやだー!!!!」 俺
「煩い」 長
「なんでこうなるんだよー!!!!!!」 俺
『学園に響いた蒼空の叫びは』
『滝夜叉丸の耳には届かなかった。』
*。*。*。
滝をまず犠牲に。