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□暴かれた両思い
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「(ここ前に習ったような気がするんだけどなぁー・・・。
なーんだっけなぁ・・。」 俺
『やけに長屋自体が静かだった。』
『いつも騒がしいのに。』
『大体、その原因は私か、彼女。』
『どうしたものか』
「・・・あ」 暴君
『どうやら寝てるようだ。』
『教材を畳に広げていた。』
『彼女の手の近くには、』
『手から転げた筆一本。』
(これじゃ風邪ひくって・・・)
『彼女の白い肩に』
『自分の着ていた上着を掛けた。』
(バレーしたかったんだけど、寝てるならいいや。)
(勉強してて、疲れちゃったんだろうし。)
(それに、こんなに気持ちよさそうに寝てるのに)
(起こしちゃうのも悪いから。)
「・・・・おやすみ」 暴君
『小さく落として私は部屋を出た。』
「・・・」 俺
(あー・・・)
(寝ちゃったパターンか・・・・。)
(・・・あれ。なんかかかってる)
『同級生が着てる松葉色の制服だった。』
『誰のかはすぐわかった。』
(・・・小平太のじゃんかよ・・)
『アイツ特有の、土くささと言うかなんというか。』
『ずっと外に居るヤツの服って、違うんだよな。』
(あいつ・・・。)
(来たなら起こしゃいいのに。)
『ちょっと悲しい気もした。』
『何故かは知らないけど。』
(でも、かけてくれたから)
(礼はしないとな。)
『かけてもらった上着を雑に持って』
『部屋に向かった。』
「よーっす」 俺
「あ、蒼空。
起きたのか」 暴君
『ついさっきまでの安らかな寝顔とかうってかわって』
『爽やかな微笑み。』
『もう慣れたつもりなんだけど』
『心臓が慣れてないみたい。』
「起きたのかじゃねぇって。
来たなら起こせばいいのにさ」 俺
『ちょっと不機嫌だった。』
『膨れっ面な彼女、可愛い。』
「よく寝てたからさ。
起こしちゃ悪いかなーって」 暴君
「そうかよ・・。
んーまぁいいや。
とりあえず、上着ありがと」 俺
『あれ?』
『なんでわかったんだろう。』
「あ、あぁ・・。
よく分かったな」 暴君
「え?何が?」 俺
「上着。」 暴君
「あぁ。
だってさ、試験近いのに、廊下ふらついてんの、お前しか居ないだろ?」 俺
「あ・・・」 暴君
『否定はしないさ。否定は。』
「同室は、い組の部屋にこもってるし、は組は下級生の面倒見てるし、お前の同室は委員会で居ない。
だから消去法でお前な訳」 俺
「へぇ・・・」 暴君
『悲しさと切なさがニヒルの渦の中で混ざる。』
『んー、なんだかセンチメンタルになりそう。』
「ま、何はともあれ、ありがとう。
お前の温もりが伝わって来たような気がした」 俺
『センチメンタルは嘘。』
『蒼空の言葉ってすごいよね。』
『感情がすぐに変えられる。』
『巧妙な話術って言うのは、このことだったり。』
「それは大げさじゃないか?」 暴君
「・・・さぁ?どうだか」 俺
「なんだよー」 暴君
『ちょっと膨れてみた。』
『意地悪なところも好きだけどね。』
「それでだな、お礼をね、どうしようかと思うんだ」 俺
「うん・・・?」 暴君
「だから明日、一緒にどっか行こう」 俺
「え」 暴君
『まぁベタな話、』
『接吻とかそんなもんかと思ったよ。』
『まさか明日一日貸切とはね。』
『最高。』
「なんかね、夢でね、お前とどっか行った夢みたんだ」 俺
「そ、そうか・・」 暴君
『夢にまで出たんだ。』
『というか、なんででたんだろう。』
「夢のまま終いってのは後味悪くてさ。
正夢にしてみたいとか思ってるんだけど」 俺
「どんな夢だった?」 暴君
「そりゃ内緒だって。
言っちゃったら楽しくないじゃん」 俺
「なんか不平等」 暴君
「豪放に行こうぜ」 俺
「豪放?」 暴君
「細かいことは気にすんな。
ってこと。
まさにお前だろ」 俺
「はは、確かに」 暴君
『明日はなにしてあげようかな。』
『の、前に、なんで私が夢にでたのか気になる。』
『本人に聞いてもわかるわけないしなぁ・・・。』
『伊作とかに聞いたらわかるかな・・・。』
「・・・伊作ー」 暴君
「あ、小平太。どうした?また怪我した?」 伊作
「いやぁ、違うんだ」 暴君
「あ、わかった。
蒼空に薬盛るんじゃないの〜?
小平太もやる時はやる人だからねぇ」 伊作
「おい、とりあえず話を聞け」 暴君
「あはは、ごめんごめん。
冗談が過ぎたね。」 伊作
「あのさ、」 暴君
『“蒼空の夢に私が出た”』
『と、そのまま言うのは気が引ける。』
「夢に父親や母親がでてくるんだけど、なんで?」 暴君
『とりあえず』
『ある人物がでてくるということが伝われば大丈夫』
『だと思う・・・。』
「あー・・・それはねー・・・。
レム睡眠の時にあるーって言ってもわかんないよね・・・。
なんて言うのかな・・・・。
本来、寝る時は脳も寝るんだけど、
レム睡眠って言うのは、脳が寝てない事を言うんだ。
脳が寝てないってことは考え事とかをしてるってことで、夢を見る。
そこに人物が出てくるってことは、その人の事を考えていたってことだね。
僕の知り合いは“その人物に会いたいから夢を見る”って事を言ってた。
なんだか夢のある解釈だよね。
僕も納得しちゃったよ」 伊作
「へぇ・・・」 暴君
『“その人物に会いたいから夢を見る”』
『蒼空は、私に会いたかったのか・・?』
「そうか・・。
今度の休みに、実家に帰ってみる」 暴君
「うん。
そうしてあげて」 伊作
「仕事の邪魔して悪かった。
じゃあな!」 暴君
「怪我しないようにね」 伊作
『明日は死ぬほど構ってあげようかな。』
*。*。*。*。*。
意味不明orz