過去拍手文
□ニヨニヨしたい
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今日は休暇だったので、外をぶらぶらしていた私に
「なぁなぁ司ー」
と声がかかった。
この聞き覚えのある可愛らしい声は!
振り返るとそこには想像していたとおり沖田総悟がいた。
総悟が珍しく隊服の上にマフラーを巻いているのは、心配性な土方さんに言われたからだろう。
「あっれー、総悟!どうしたの?」
普段総悟から声をかけられることがないので、驚いた。
総悟はうーん、と唸りながら何か言いたそうにしている。
「総悟?」
私が首を傾げると、総悟はおずおずと口を開いた。
「も、萌えってなんですか」
ぼそぼそッと吐き出された言葉だったが、私が総悟の言葉を聞き逃すわけがない。
「は?」
だが、しかし、総悟の言っている意味が分からずつい聞き返してしまった。
「だっ、だから!萌えって何だって聞いてるんでィ!!」
叫ぶようにそう言った総悟は周りの市民の注目の的だ。
みんなの視線に気づいた総悟はハッとして顔を赤らめながら俯く。
あぁ、そんな総悟も可愛いなちくしょう!!
「萌えって何でィ…」
俯きながらもそう呟く。
そんなに知りたいのか。
「総悟、とりあえずさ、急にどうしたの?」
巡回中の総悟が休暇でぶらぶらしていた私に声をかけてしまう程知りたいのか、萌えとやらを。
「旦那が…」
「万事屋さんがどうしたんだい?」
「旦那が…沖田君って萌えの塊だよねーって、言ったんでさァ」
万 事 屋 さ ん !
何サラッと言ってんですかもっとやれ!
「俺萌えとかよく分かんないし、土方さんトッシー化した時とかも『そごたん萌えー!!』って叫んでただろィ?
何か、俺馬鹿にされてんのかなー、って思って…」
ちょ、トッシーいつの間にそんな事言ってたんだよ!
「おい司、聞いてんのかィ?」
「うん、聞いてるよ!」
「じゃあ、萌えって何でィ」
「うん、萌えっていうのはね、キミのことだよ!」
私は自信を持って親指を突き出した。
対する総悟は呆れたように大きくため息を吐き出した。
「答えになってねェ…」
(そごたんが「萌えって何ですかィ?」って真顔で聞いてきたので「キミのことだよ!」とか言ってニヨニヨしたい。)