長編
□第七訓
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仕事が終わったあと、万事屋の3人は家へ帰るべく暗い夜道を歩いていた。
今日の仕事は時間がかかったため、帰るのが夜遅くになってしまったのだ。
月明かりと街灯が3人を照らす。
十字路に差し掛かった所で新八が足を止める。
「じゃあ、僕こっちなので。
…もう夜遅いんですから寄り道しちゃ駄目ですからね」
「わーってるよ。お前は母ちゃんか」
銀時が呆れたように言うも、新八は信用できないのか
べらべらと説教染みた話しをし出す。
銀時と総はそんな新八を無視して万事屋と向かった。
後ろで新八が何か五月蝿かったがやはり無視した。
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「あ、猫」
急に総がしゃがみ出した。
何事かと思えば総の足元には一匹の野良猫が。
猫は総の足に頭を擦り付け甘えている。
「可愛い!!」
猫の背中を撫でながら銀時を見上げる総。
(いや、お前の方が可愛い!!)
内心そう思うも、表に出さないように平然としながら
「猫が可愛いのは分かったから!早く家に帰るぞ!!」
と小さな声で言った。
今は夜なので近所迷惑にならないようにという配慮だ。
「え〜いいじゃないですか。もう少し猫をもふもふしたいです」
(も ふ も ふ だってェ!!可愛いなチクショー!!)
総を見つめながら1人でニヤニヤする銀時。
一方の総は猫に夢中で銀時など視界に入っていなかった。
「本当にこの子可愛い!!
よし決めた!私この子飼います!!」
「はぁ!?」
立ち上がりながらそんなことを言う総。
銀時は驚きの顔を見せる。
「この子の可愛いさに惚れたんです!
世話は私がしますからっ!ね、いいでしょ?」
銀時の腕を掴みながら見上げてくる総。
「いやぁ…今でも結構金欠な上に猫を飼うとか最早自殺行為だよね」
頬をぽりぽり掻きながら苦笑いを浮かべる銀時。
「うーん…」
どうしても猫が飼いたいらしい。
総は猫を持ち上げ抱っこする。
すると猫はぴょんと総の腕から飛び出し路地裏へと走って行く。