長編

□第六訓
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「どうこれ似合う!?」

浴衣の袖をひらひらと見せるように歩く総。

「似合うよ、総」

そう言うのはお登勢。
今、総はお登勢が営業するスナックに来ていた。
銀時と新八は依頼の仕事をしている。
仕事内容はからくりの店から聞こえてくる音。
これがうるさくてしょうがないというものだ。

「私の昔の浴衣がこんなところで役に立つなんてねぇ。
捨てないでおいてよかったよ」

煙草の煙をすぱーと吐きながらお登勢は言う。


ちなみに何故総が浴衣を着ているかというと、今日は夕方から花火大会があるのだ。

「ただいま帰ったぞーっと」

ガララとスナックの扉が開き銀時と新八が入ってきた。

「あー!!お総ちゃん浴衣!?似合ってるよ!」

新八が浴衣姿の総を見つけ素直な感想を言う。

「ありがと新八くん。女の子らしく見えるでしょ?」

普段男物の袴を着ている総。
それでも可愛いものなのだが、やはり女物の服を着ればより女の子らしくなってもっと可愛い。

総はチラッと銀時の方を見ると銀時が何か言いたげな顔をしていた。

「…どうせ銀時また似合わないとか言うんでしょ?」

「あー、いや、普通に似合ってる…可愛い…」

目を逸らしながらポツリと言う銀時。
それは小さな声だったが総の耳にはしっかりと聞こえていた。
総は頬を染めながらにこりと微笑む。

「さっ、銀時、新八くん!祭り行きましょうよ!!」

それを誤魔化すように総は銀時と新八の手を引っ張りスナックから出ていく。

「じゃあ、お登勢さんありがとうございます!!」

「気をつけて行くんだよ」

見えなくなる3人の背中を見つめながらお登勢は微笑ましそうに笑った。
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