長編
□第一訓
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「よしっ、外食にでも行くか」
銀時の言葉に総は驚いた。
「…明日は雨、いや…槍が降ってきますね」
「いやいやいや、降ってこないからね!?
たまには外食もいいでしょ。金も入ったしな」
銀時がそう言うと総は納得したように頷く。
「なるほど。いつもは銀時がケチってご飯に味噌汁ぶっかけたみたいな飯しか食べないから外食なんてありえないと思ってました」
「ご飯に味噌汁ぶっかけたことないからね!?勝手なこと言わないの!!」
「ちょっとしたジョークじゃないですかィ」
「たくっ…。昔はもっと素直で可愛いかったのによ」
銀時はニヤニヤ笑ながら総を見る。
銀時と総が出会ったのは3年前。
総がお登勢の店の前で腹を空かせて倒れていたのだ。
「過去を引きずっちゃ駄目ですよー」
「生意気だな、オイ。誰のお陰で今働けると思ってんだ」
兄の治療費を養うため江戸に来たが職を見つけられない総を銀時が万事屋で預かっているのだ。
「それにはちゃんと感謝してますよ!」
頬を膨らます総。
銀時はそんな総の頭を撫でる。
「子供扱いしないでくださいよ…」
「まだまだ餓鬼だろうが。ほら、出掛ける準備しろ」
玄関の方に向かう銀時の背中を見ながら総は唇を尖らせる。
「銀時の奢りですからね」
そう言いながら総はその背中を追いかけた。