短編
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俺はあの後考えた。
考えて考えて考えた結果、こういう結論が出た。
「結婚を前提に俺と付き合ってください!!」
俺は正座をして畳に手と頭をくっ付け、所謂土下座をしながら目の前の少女、総の様子を伺った。
総は驚いたように目を大きくし、暫し呆然としていた。
「な、何ですか急に……」
「そのまんまの意味だよ」
「今さら責任感じてるんですか?責任感じてそういうこと言ってるなら丁重にお断りしますけど」
「んなわけねぇだろうが!!俺はなァ、総が好きなんだよ!」
もう、後半はやけくそだった。
自分でも何言ってるのかさっぱり分からなかった。
ちらりと総を見れば、頬がほんのりと赤く染まっていた。
「そ、それなら別に付き合ってやってもいいですけど…」
「本当か!?」
バッと総に近づけば顔を真っ赤にした総に顔面を蹴られた。
「いってぇ!!何で蹴った!?」
「うっせぇ!!」
「まぁ、いいや。おい総、同棲するぞ!!」
「はぁ!?」
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俺が出した結論とは、総と付き合って、できたら結婚もすること。
昨日の総のあの一言を俺は聞き逃さなかった。
『でも、もしかしたら土方さんが私の事好きなのかなって…期待した私が馬鹿でした』
俺はこれを「土方さんが私の事好きなら何されても構いません」と解釈した。
俺が何を言いたいかと言うと、ぶっちゃけ総って俺のこと好きなんじゃね?ということである。
これは好都合だと俺は思った。
何故なら、俺は総に好意を寄せてるからだ。
つまり、両想いかもしれないのだ。俺と総は。
だから、こんな結論に至ったのだ。
それに、いくら酒の勢いとはいえ無理矢理行為に及んでしまったということに負い目を感じている。
しかも、自分の記憶にないのだから尚更。
総が俺の告白にオッケーしてくれるということは、俺のことが好きということ、そして今までのことを水に流してくれるということを表している。
俺は内心ガッツポーズをする。
晴れて俺たちは両想いだ。
しかも結婚前提だぜ?
「同棲するぞ」と言って連れてきたのは屯所から歩いて10分くらいのアパート。
「同棲するって本当ですか?」
「妊娠してる奴に刀持たせるわけにはいかねぇよ」
「はぁ、まぁ確かに」
首を傾げて納得いかないような素振りを見せていた総だが、アパートに入ればキラキラと目を輝かせた。
「土方さん、土方さん!キッチンも風呂もトイレもある!」
「いや、普通だろ」
こいつはアパートをなんだと思ってるんだ。
まぁ、でも喜んでるみたいでよかった。
「土方さん、土方さん」
「何だよ」
「楽しみですね、アパート生活!」
にこりと微笑まれ、くらりと目眩を感じた。
可愛いな、おい。