短編

□嘘、本当、嘘。
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空は快晴。
暖かい日差しの中、前日の仕事で疲れた体を休めていたら、
嵐がやってきやがった。


「土方さん、土方さーん!私、妊娠しちゃいましたぁ」

「ぶふぅ!!」

障子がいきなり開いたことと、総の衝撃的な発言に俺は飲んでいたお茶を吹き出してしまった。

「げほっ、ごほっ」

「ちょ、何やってんですか」

ケラケラと愉快そうに笑う元凶。
いつもなら怒鳴ってるところだろうが、残念ながらそこまで頭が働かなかった。

「いやいやいやいや、え?何、妊娠?」

「そうなんですよ、妊娠したみたいなんです」

「おおぉぉお落ち着けェェェ!!」

「いや、アンタが落ち着け」

ちょっと待てよ!
何だよ妊娠って!俺ァ聞いてねぇよそんなこと!
つーか、総に彼氏いたの!?
一生彼氏作らないタイプだろこいつ!!
しかも彼氏いただけでも驚きなのに妊娠って…おまっ、それはあれだよな?子供には見せられないあはんでうふんな行為をしたってことだよな彼氏殺す!!

「そ、総ちゃ〜ん?ちなみに相手は?」

「分かりません」

えぇぇええぇぇ!?まさかの分かりません!?
そんなことってありえんの!?
ハッ!まさかこいつ色んな男とヤッ……げふん!気を確かにもて十四郎!総に限ってそれはねぇよ!
むしろ総って一途そうじゃん?純潔守ってそうじゃん?好きな男としかヤりませんよ的な!?

「私も身に覚えがないんですよね。でも最近気持ち悪くて、吐き気もするし…。で、病院行ったら妊娠だーみたいな」

身に覚えないってどういうことだよ!!
何で知らない間に妊娠してんだよ!
そして何でそんなに軽いの総ちゃん!?こんなの正直心霊現象より怖いだろ!!

「それで、先生に相談したんですよ。身に覚えがないって。そしたら、天人の薬とか関係してるのかもしれませんね、って」

天人の薬?
そうか、それも一理あるだろう。
天人の技術はもう、はっきり言って何でもアリだ。
絶滅の危機がある種族を繁殖させるために勝手に妊娠させる薬が開発されても可笑しくはない。
それが地球に持ち込まれていたとしたら、総が知らない間に薬を嗅いでいたという可能性もありえるわけだ。
というかそうであってほしい。
お願いしますよ神様ァァァ!!

「そういうことなんで、万事屋行きません?ほら、旦那とかそういう天人の薬とか詳しそうじゃないですか」

……………また一難起こりそうな気がするのは俺だけでしょうか、神様。
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