短編
□君の近くに居たいから
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「……………………」
数学の答えを手にした沖田は、無言のままだった。
そんなに機嫌を悪くしたのか?
俺のせいか?
土方が沖田に声を掛けようと顔を覗き込めば、沖田は顔を赤くしてそっぽを向いてしまう。
「おい、総悟…」
「ねぇ、土方さん」
土方が心配して沖田に声を掛けると、沖田はまた土方の言葉を遮る。
「土方さん、俺、告白しようと思うんでさァ」
「………へ?」
今、何て言った?
告白?総悟が?
「なぁ、総悟……、告白って何だ?」
「っ…、だから!そのっ、好きな人に…、好きって伝えたいなぁ…みたいな」
後ろを向いているからどんな顔をしてるかは分からないが、
サラサラとした髪の間から見える沖田の耳は真っ赤になっていた。
ガーン!と、自分の頭にでっかい石が落ちる音が土方は感じた。
「…その人は俺の幼なじみなんですけど、すっごい鈍いんでさァ!
俺、今まで結構アピールしてたつもりなんですけど全然俺の気持ちに気づいてもらえなくて…」
怒りや悲しみの混じった沖田の声。
それを聞いて土方もふつふつと怒りを感じた。
「だから、だったら俺がこの気持ちを伝えねぇと駄目だなって思ったんでさァ」
「…へ、へぇ…。そうなんだ…」
土方は絶望に満ち溢れてしまった。