リクエスト
□喧嘩するほど
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静かだった教室は徐々に騒がしさを取り戻していく。
次の授業を知らせるチャイムがなり生徒たちは自分の席へと戻る。
全員が席に戻ったのだが、2つだけ空の席が。
土方と沖田の席だ。
あの二人遅いねー。どこ行ってんだろう。
なんて教室中から心配する声が上がる。
すると、教室のドアが開き、ペタペタと安っぽいサンダルを響かせながら先生、銀八が入ってきた。
「うっせぇぞテメーら。少しは静かに出来ねぇのか」
いつも通り、生徒に対する文句を吐き散らしながら教卓まで歩いてくる。
「ん…?」
しかし、教室の何とも言えない空気に先生は首を傾げる。
教室中を見渡し、誰も座っていない席を見つけ口を開く。
「おいおい、何で席が2つ空いてんだ?今日は欠席者いなかったよな」
出席簿を確認しながら再び首を傾げる先生。
「土方と沖田の席か…。二人揃ってサボりか?」
どこか納得したように先生は言う。
「サボりじゃねぇよ、先生」
「あ?どうした近藤。珍しく元気ねぇじゃねーか」
先生の言う通り、いつもうるさいくらい元気な近藤さんがしおらしくしょぼんとなっていた。
「いや、さっきトシと総悟が喧嘩してて俺としたことが止められなかったんだ。そのまま総悟が教室出てって、トシも…」
「ふーん、喧嘩ねぇ。いつものことじゃねぇの?」
「それが珍しく総悟が本気で怒ってたんだよ」
いつものは本気じゃなかったのか…。
教室中の誰もがそう思った。
「……………………」
教室中のざわめきを余所に、先生は暫く何か考え込んだ後、ぴっ、と席に座る生徒の誰かに向かって指を差した。
「おい、司。土方と沖田探してこい」
先生は、誰かに向かって指を差していたわけではなかった。
私に向かって指を差していたようだった。